虫刺されに2タイプ あとで腫れる場合は処方薬をかゆみ何カ月も続くことも

夏に多くなる肌のトラブルの一つが、蚊、アブ、ブユなどによる虫刺されだ。つらいかゆみを抑え、虫刺され跡を残さないようにするためには、どのような対処が必要なのか、専門家の話を聞いた。

どこからともなくやってきて人を刺す蚊。大人の場合、しばらくするとかゆみが静まるが、小さな子どもの場合、翌日になってから腫れがひどくなり、強いかゆみのために、肌を掻(か)きむしってしまうこともある。同じ虫刺されなのに、どうして人によって症状が異なるのか。理由は、私たちの体のアレルギー反応の表れ方にあるという。

■ぶり返すかゆみ

兵庫医科大学の准教授、夏秋優さんは「蚊やアブ、ブユ、ネコノミなどの吸血性昆虫は、血を吸うために、皮膚を刺したときに血が固まらないように唾液成分を注入する。この成分に対して起きるアレルギー反応が虫刺され症状で、反応には即時型と遅延型の2タイプがある」と話す。

まず、大人に多い「即時型反応タイプ」は、刺されるとすぐ皮膚がプクッとふくれ、かゆみが出るが数時間たつと自然に治まる。それに対して、子どもに多い「遅延型反応タイプ」は、刺されて数時間から翌日にかけて症状が表れる。皮膚には赤く盛り上がった皮疹でき、かゆみが次第に強くなる。水疱(すいほう)ができることもあり、かゆみは1~2週間、何回もぶり返す。ときには硬くしこり状になった結節性痒疹(ようしん)という状態になり、何カ月もかゆみが続くこともある。

これまでの研究で、最初に刺されたときは無症状だが、何回か刺されるうちにアレルギーが生じ、遅延型の反応を起こすようになることがわかってきた。さらに繰り返し刺されることによって即時型へと移行すると考えられている。

夏秋さんは「蚊に刺された場合でも幼児期には強い遅延型反応を起こす子どもが多い。ただし、大人でも体質によっては遅延型の反応を示すので、そうした人はなるべく蚊に刺されないように注意してほしい」と話す。

■強く掻かない

反応の違いによって対処法も異なる。即時型の場合、一時的なかゆみは、冷やしたタオルを肌にあてたり、清涼感のある市販の「かゆみ止め」を使用したりしてしのげばよい。

遅延型の症状が強いときはどうすればよいのか。岡皮フ科クリニックの院長、岡恵子さんは「強く掻かないこと。掻くことで症状が悪化し、虫刺され跡が治りにくくなる。子どもの場合、かきむしった痕が化膿(かのう)して『とびひ』になることもある。病院で処方されるステロイドの軟こうなどを塗布し炎症を抑えるのが効果的」と話す。かゆみで日常生活に支障をきたすときは「抗アレルギー薬を用いるなど症状ごとに対処している」という。