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「熱い湯に長く」はNG 夏の正しい入浴法 十分に水分補給を

2013/7/30 日本経済新聞 朝刊

 蒸し暑い夏にひと風呂浴びればさっぱりする。シャワーより湯船につかった方がリラックスできるという人も多いだろう。ただ、日本人が好む熱めの湯に長くつかると、体への負担も増す。入浴する際のコツを知ることが大切だ。

 東京都内に住む70代のA子さんの夏の夜の楽しみは、熱い湯につかってリフレッシュすること。入浴時間は約20分と決めている。ある日、浴槽から立ち上がろうとした際、頭がクラクラし、慌てて出ようとしても思うように力が入らなかった。浴室内のボタンを押して同居する家族を呼び事なきを得たが、危うく溺れるところだった。

■溺れ死亡年1.4万人

 日本人は風呂好きで知られるが、その分、浴槽内で溺れる事故も多い。東京都の推計では、入浴中に溺れて亡くなる人は全国で年間1万4000人に上る。入浴時の事故では、寒い冬に心筋梗塞や脳卒中などが起こるケースがよく知られているが、夏場にも危険が隠れている。

 事故が起こる理由の一つとされるのが、熱い湯に長くつかることだ。東京ガス都市生活研究所が首都圏の男女約1200人を対象に2011年に実施した調査によると、約45%が夏場でもセ氏40度以上の湯につかると答えた。42度以上との回答も全体の8.3%あった。熱い湯に肩までつかるのを好む人も多かった。

 この入浴法に対し、救急医学が専門の昭和大学病院の有賀徹病院長は「血管や脳、心臓に大きな負担がかかってしまう」と指摘する。高齢者だけでなく、中年以下でも体調が悪かったり持病があったりする場合は注意が必要だと強調する。

 熱い湯につかると、体温を調整しようと皮膚の毛細血管が広がる。全身の血行がよくなる半面、血圧が下がり脳に届く血液が減る。この状態で立ち上がると、脳に血液を送ろうと血圧が急に上がるケースがあるという。

 別の問題もある。浴室内での熱中症だ。「もともと入浴中は全身の温度が上昇している軽い熱中症状態ともいえる」(有賀院長)。入浴中は体温調節のため汗が出るので、体内の水分量が減りがちだ。しかも、最近の浴室は気密性が高く熱が逃げにくい。入浴そのものが熱中症を引き起こしやすい環境にあるといえる。

 また11年の東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、節電が叫ばれ、エアコンによる部屋の「冷やしすぎ」は減ったが、それでも人によっては寒さを感じる。そんな環境に長くいると、自律神経の調節機能が低下し、うまく体温調節ができなくなる例がある。

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