山ガールデビュー今がお薦め 写真・グルメ満喫
富士山は慣れてから
自然・グルメ・温泉満喫
7月中旬、東京都八王子市にある高尾山の山頂は登山客でにぎわっていた。同僚と2人で訪れた高野京子さん(30)は「普段見かけない花や草を見て盛り上がった。会話も笑顔もいつもより5割増しです」とほほ笑む。
リフトで途中まで上り、山頂まで歩いた時間は1時間半。一般的な所要時間の2倍だ。頂上を真っすぐ目指しがちな男性に比べ、道中を楽しむのが女性の特徴という。
女性で初めてエベレストに登頂した登山家の田部井淳子さんは「土や草花の香り、鳥の鳴き声など自然を味わうのが山の醍醐味。急いで歩くのはもったいない」と話す。
楽しみ方は人それぞれだが、カメラは必需品だ。草花や鳥、昆虫など小さな被写体は、なるべく近づいて撮影すると特徴が出る。交流サイト(SNS)やメールを使って、友人に写真を紹介すると思い出を共有できる。
グルメも満喫したい。山小屋のメニューはレトルトカレーやカップ麺が定番だったが、最近では鍋焼きうどんやケーキなど独自色が出てきて面白い。下山後の温泉が楽しみという女性も多い。
夏の山上は涼しく快適。登山デビューは今の時期がお薦めだ。「一歩ずつの山歩き入門」著者の四角(よすみ)友里さんは「最初は、観光地として有名な場所を選ぶとよい」とアドバイスする。
関東付近では高尾山や上高地、関西では六甲山などが挙げられる。道路やロープウエーが整備され、比較的短時間で頂上に着く。道中に売店やトイレが多く安心だ。
次はアップダウンが小さい登山コースに挑戦する。標高差が300メートル前後、3時間程度で歩ききれるコースを選び、山歩きに慣れていきたい。
爽快感を味わえる登山だが、一方で"難敵"もいる。その一つが平地よりも強い紫外線だ。
ツバの広い帽子、サングラス、長袖の上着やシャツが効果的だ。汗をかくので日焼け止めは何度も塗り直す必要がある。持ち運びやすいように小さな容器に入れ替え、リュックサックの取り出しやすい場所に入れる。
蚊や蜂などの虫にも注意が必要。虫よけスプレーを携帯し、肌の露出が少ない服装が好ましい。
トイレ対策も大切だ。山小屋では和式タイプが多い。ハイキングや低山登山の場合はショートパンツや山用スカートをはくと着脱が簡単で便利だ。トイレットペーパーと生理用品は必ず用意し、使用後は持ち帰る。またマナーとして高山植物などの生育場所に踏み入ったり、抜き取ったりしないよう心がけたい。
富士山は慣れてから
今年、富士山に登りたいという人は多いだろう。ただ初心者がいきなり挑戦するのはお薦めできない。どのルートを選んでも1000メートルを超す標高差があり、最短でも8時間前後の所要時間が見込まれる。登山シーズンの9月上旬までに体を慣らすには時間不足だ。
田部井さんは「富士山を見晴らせる山に登り、来年や再来年に登るぞと決意を固めるのがよい」と提案する。箱根の外輪山である金時山など有名な眺望スポットは多い。
本格登山をする場合、安全管理ができるベテランを必ずメンバーに加えよう。道具の使い方や道の歩き方などを学ぶ絶好の機会にもなる。身近に適任者がいない場合は、旅行会社や登山用品店が主催するツアーに参加すれば、経験豊富なリーダーが同行してくれる。
山の上は天候が変わりやすく危険が多い。服装や装備を万全にし、経験をある程度積んでから、憧れの山に挑戦したい。
(武田健太郎)
[日経プラスワン2013年7月27日付]
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