2013/8/13

エコノ探偵団

経済活性化には限界

「過度な期待をせず、事業を絞り込んで地道に努力する若者が成功しています」。明日香の報告に所長は納得しない様子。「起業の準備は大変だぞ。資金の出し手がいて、起業家が地道に努力すれば、それで成功率は高まるのか」

明日香が調べると、最近の政権は起業家の育成を目標に掲げ、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」でも起業の加速がうたわれている。「政府の支援は厚くなっているようね」

そこで、10~11年度に内閣府の委託を受け、研修や支援金の提供を通じて若者の起業を促す事業を展開したNPO法人、ETIC.(エティック、東京都渋谷区)に向かった。委託事業は39歳以下が応募の条件で95人の起業を支援。起業時の年齢は、半数近くが26~30歳で、企業の勤務経験がある人が多かった。

支援事業に携わった加勢雅善さん(33)は「大手企業に就職を希望する若者はなお多いですが、支援する組織や制度が充実し、起業も選択肢の一つになっています」とみる。政府の委託事業は終了したが、今後も継続して若者の起業を促すという。

中高校生にIT(情報技術)教育の場を提供する「ライフイズテック」(東京都目黒区)社長の水野雄介さん(30)はエティックから支援を受けた。高校で物理を教えていたが、大学卒業後も就職できない学生が多い現状に疑問を感じて起業した。「デジタル技術に慣れ親しんだ中高校生の中から、世界で通用する人材を育てたいのです」と教育改革への意気込みを語る。

起業家育成の看板を掲げるビジネススクールの社会起業大学(東京都千代田区)も支援組織の一つ。ここに通いながら、井上洋市朗さん(28)は辞めない若手社員を育てる方法を企業に伝授するサービスという事業計画を練り上げた。12年春に創業した研修や調査サービスを手がける「カイラボ」の本社登記は同大学内。「常に動き回っているので、自前のオフィスは当面要りません」とほほ笑む。

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