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エコノ探偵団

若者の起業、意外と多い成功例 その理由は?

2013/8/13 日本経済新聞 プラスワン

 「うちの娘が起業すると言うのよ。会社を立ち上げて何とかうまくやっている若者は多いって説明するんだけど、本当かしら」。近所の主婦の質問に探偵、深津明日香が目を輝かせた。「私の友人にも確かにいます。調べてみましょう」

■身の丈経営、着実に実績

地元で人気の美容室「ミル」

 「起業した人の声を聞かなきゃ」と明日香が訪ねたのは、東京都杉並区に3月、レストラン「ミュー」をオープンした宮島賢さん(34)。イタリア料理店のシェフを経験した後、自分が好きな料理を続けたいと思い、独立したそうだ。パートナーの女性と2人で切り盛りしている。「奇をてらわない、落ち着いた味が特徴です」と宮島さん。地元の30~40歳代が顧客の中心だ。滑り出しは順調だが、多店舗展開などは考えていないと話す。

 「成功例は多そうね」。次に、若者を対象に、創業前や創業後1年以内に資金を提供している日本政策金融公庫の門をたたいた。資料を見せてもらうと、2012年度の30歳未満の起業家向け融資は1549件と、前年度に比べ16.6%増えていた。応対してくれた同公庫創業支援室の森本淳志さん(42)は「若者が起業すると売り上げや利益が目標を上回る事例が多いですね」と解説した。

地元で人気のレストラン「ミュー」

 同公庫は11年4~9月の融資先のうち、開業1年以内だった企業にアンケート調査を実施。売り上げ目標の達成率、採算を起業家の年齢層別に比べると、「34歳以下」が「55歳以上」を大きく引き離していた。起業費用は34歳以下が平均1087万円と55歳以上(1479万円)を下回る。起業後の収入を聞くと、増えたとの回答は34歳以下で49.5%で55歳以上の21.4%の2倍以上だった。「若い人の方が手堅く事業を展開している傾向が強いからです」

 公庫で融資を受け、昨年、美容室「ミル」(東京都練馬区)をオープンした宇都三千代さん(34)も堅実経営。別の美容室の雇われ店長をしていた時に、夫に背中を押された。「地域密着型のお店を目指しています」と話すように幅広い年齢層に支持され、収益を伸ばしている。7月には男性社員を雇い入れた。「現実をしっかり見ながら、次の展開を考えます」

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