登山記録や山小屋案内…富士山楽しむアプリ広がる
1日に山開きした日本の最高峰、富士山。世界文化遺産に登録され、初登頂にチャレンジしようと考えている人も多そうだ。スマートフォン(スマホ)のアプリを使えば、山登りの記録や山小屋の位置の確認がしやすくなるほか、登山をしない人も手軽に富士山の雄姿を楽しむことができる。
富士山の周辺を沿線とする富士急行のアプリ「富士登山NAVI」は、実際に登山をする人にとって役立つ機能が満載だ。全地球測位システム(GPS)機能を使い、所要時間や標高などを取得したり、自分だけの登山記録を残したりすることができる。
次の山小屋へ「案内」
特に便利なのが「富士登山お助けカメラ」機能。起動すると、カメラの画面上に山小屋など次のチェック地点について、残りの距離やイメージ画像を表示してくれる。延々と続く山道を前にくじけそうになったときでも、次の目安を把握することで「あとこれだけ登ったら休める」などと、意欲を保ちながら進むことができる。
電波が通じない登山中でも、事前にアプリを起動しておけば同社が運営するサイト「富士山に登ろう」の掲載情報を確認できる。主要ルートの特徴や、登頂後の「お鉢めぐり」、ちょっと気が早いけれども登頂後の立ち寄り湯やおみやげ情報などが充実している。現在はアンドロイド搭載のスマホにのみ対応している。
登山前に士気を高めたい人には、Writerhouseの「富士山『天の力』」がおすすめだ。富士山に毎年登っているプロの写真家が撮影した写真を楽しむことができる。いずれも富士山の外側からではなく、実際に登頂しないと撮れない絶景ばかり。感動を覚えつつ、「同じ光景を目の当たりにできる」と富士登頂への意欲向上につながることだろう。
写真には簡単なビューポイントが記載されているものもある。「プロの腕前をもってしても、運がよくないと撮れない写真がほとんど」(Writerhouse)といい、同じような写真を撮るのは難しいかもしれないが、腕に覚えのある人は挑戦してみてはいかがだろうか。iPhone(アイフォーン)のみに対応しており、価格は170円だ。
「富士山を登り切る体力に自信がない」というインドア派も楽しめるアプリもある。あすなろ社が配信する「富士山が見える場所」は、公園やビルなど、東京近郊で富士山がきれいに見える20カ所弱のスポットを一覧表示してくれる。地図上でも位置を確認できるほか、各スポットについて具体的にどのあたりに立てばよく見えるかも記載されていて、都心からでも富士山を満喫できるヒントを提供してくれる。
普段は営業回りで都内各地を飛び回っているという、板橋区在住の会社員、田中結衣さん(仮名、23)は「都内でも富士山がこんなにきれいに見える場所が多くあることに驚いた」と話す。仕事の合間をみて、同アプリを使い、周辺に絶好の観察スポットがないかを探す習慣がついたという。iPhoneのみに対応している。
「生の顔」様々な角度
ビーエス静岡が配信するアンドロイド向けアプリ「富士山ライブカメラ」は、富士山周辺に設置された複数のライブカメラを通じ、様々な角度から富士山の「生の顔」を楽しめる。日本語と英語の2カ国語に対応し、ユーザーの1割弱が外国人という。
画像と動画の両方を配信しており、登山客にとっては天気をいち早く把握するのに使える。また「夏は雲が多くなかなか見ることができない」(ビーエス静岡)という富士山山頂部の写真撮影のポイントを探すのに役立てている人もいるという。
世界遺産登録でますます海外からの注目度が高まりそうな富士山。アプリを上手に使って、富士山をより身近に楽しむヒントにしてほしい。
(証券部 竹内宏介)
[日本経済新聞夕刊2013年7月18日付]
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