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15年間ほぼ横ばい 女性の家事時間なぜ減らない

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NIKKEI STYLE

 「家事には時間がかかるわね」。事務所を訪れた主婦の悩みを聞いた探偵、松田章司は「この15年間、ほぼ横ばいという話を聞いたことがあるぞ」とつぶやいた。「便利な家電製品が増えているのになぜかな」。早速、調査に乗り出した。

健康のために一手間

まず訪問したのは総務省統計局(東京都新宿区)。高野義幸さん(39)が示したのは、日本人(10歳以上)の1日24時間の使い方を総務省が調べたデータ。炊事、掃除、洗濯などにかける時間は2011年平均で1人当たり1時間27分。同じ条件で調査を始めた1996年時点では1時間26分だった。男女別にみると、11年は女性2時間32分、男性18分、96年は女性2時間37分、男性10分。「女性が家事の大半を担う状態が続いています。20~40代の女性では食器洗い機、自動掃除機(掃除ロボット)などを活用する人も多いのですが、大幅な時間短縮は難しいようです」

次に向かったのは日本能率協会総合研究所(東京都千代田区)。20~70歳代の主婦を対象に「家事スタイルに関する調査」を定期的に実施している。担当の土井晴子さんは「30~40代の主婦の間では、家事を仕方なくやる感覚が年々強まっています。システムキッチンなど住宅や家電製品は高機能化していますが、全体では時短効果は限られます。戦後、洗濯機や掃除機などが急速に普及して家事が簡単になったときほどの影響はないようです」と解説した。

内閣府の調査資料に当たると、冷蔵庫、洗濯機、掃除機はいずれも70年代に普及率が95%を超えた。「80年代後半に登場した自動製パン機などは家庭でできる調理の幅を広げ、家事時間を増やす原因になっています」と土井さん。

例えばシャープが昨年発売した低速度ジューサー「ジュースプレッソ」は食材をゆっくりと押しつぶす新方式がヒット要因になっている。「健康のために毎朝、生ジュースを飲みたいという若い女性や、液状にした方が野菜を摂取しやすいと考えるシニア層ら幅広い人々の間で人気です」。調理器の商品企画を担当する川村有里さん(30)は、高速回転で水分を絞り出す従来の製品とは全く発想が異なる製品と説明する。

しかも豆乳、生ショウガ、コーンスープなども作れるほか、搾りかすを料理や菓子作りに活用することも可能だ。従来の製品に比べ、利用頻度が高いという。「家族の健康のためなら多少の手間はいとわないという声を多くの女性から聞きました」と川村さんはヒットの理由を分析する。

「家電製品をそろえれば家事の時間が減るという単純な関係ではなくなっているのか」と納得しかけた章司に「女性の心理もわかってください」と声をかけてきたのは、調査会社、ソフトブレーン・フィールド(東京都千代田区)戦略企画室長の柳原千夏さん(33)。同社が20~60代の主婦を対象に昨年末に実施した家事の実態調査によると、約9割の主婦が家事の時短を望むと答える一方、家族に炊事を評価してほしいと訴える主婦が5割以上、掃除を評価してほしい主婦が3割弱に達した。「家族の評価を気にする主婦たちは、家事の時間を減らしたいと思っていても、手抜きと受け取られるのが嫌で大きく減らせないのです」

「負担を減らすいい方法はないかな」。調査の途中で書店に立ち寄った章司の目に「忙しすぎるお母さんの1日10分・7日間コーチング」というタイトルが飛び込んできた。発売元のダイヤモンド社(東京都渋谷区)書籍編集局の笠井一暁さん(40)に発刊の狙いを聞くと「女性にとって家事は大きな負担。1日の上限を決め、時間管理の効率を上げる秘訣を紹介しています」と説明。「優先順位をつけることがポイントです」

事務所に戻った章司が所長に中間報告をしていると「専門業者に任せれば負担は大きく減りますよ」と扉の外から声が聞こえてきた。訪れたのは家事代行サービス最大手、ベアーズ(東京都中央区)専務の高橋ゆきさん(44)。

90年代後半、香港の商社で働いていた高橋さんはフィリピン出身のメイドに家事を手伝ってもらったおかげで仕事と子育てを両立できたという。帰国後、同様なサービスがない現状に不満を感じ、99年に夫とともに会社を立ち上げた。掃除、買い物、料理、子どもの送迎からペットの世話まで各家庭の事情に合わせて家事を代行する。12年10月から今年9月までの取扱件数は約20万件の見通し。「05年ころから利用者が急増しました」。ただ、家事代行サービスは十分、浸透しておらず、家事の時間全体を押し下げる存在までにはなっていない。

「日本人の間では家事を他人に任せることへの抵抗感がありましたが、徐々に意識が変化しています。これからは経済学の"機会費用"の考え方が当てはまる世界になると思います」。事務所に入ってきたJMR生活総合研究所社長の松田久一さん(56)が説明を始めた。機会費用とは、ある活動をすることによって放棄しなければならない利益のこと。専業主婦が自分で家事をすると収入は得られない。働きに出れば収入が得られる半面、家事代行サービスを利用すると料金がかかる。

分担への意識改革 大切

「家事代行サービスの認知度が上がってくれば、働いて得られる収入と利用料金を比べ、収入が高い傾向にある都市部を中心に利用する人がさらに増えるでしょう」

「ちょっと待ってください」。勢いよく事務所に飛び込んできたのは自民党・女性活力特別委員会の委員長を務める衆議院議員の上川陽子さん(60)。「女性が輝く社会の実現には、男性が家事や育児にもっと参加すべきです。女性の家事時間が減らない大きな原因は男性の姿勢にあります」と強調した。政府の調査によると家事に全く関与しない男性が7割に達する。「学校教育や企業の労務管理、社会保障制度などを、男性に家事への参加を促す仕組みに思い切って変えないと女性に負担が偏ったままです」

「その通り。男性の意識改革が大切ですね」と上川さんに賛同するのは、住友生命保険の阿久津清子さん(33)。生保業界では女性職員が多いこともあって、産休後に復帰しやすい制度づくりが進んでいる。阿久津さんは夫婦共働き。出産前は夫の帰宅時間が遅いことも多く、ほとんど家事を自分でこなしていたが、「出産を機に夫の態度がガラリと変わりました。現在は家事の6割は夫が分担しています」。住友生命には育児のために1時間早く帰宅できる制度があり、育児と仕事の両立に役立っているという。

「所長、これから一緒に事務所を掃除しましょう」とほうきを手に取った章司に「掃除は私がやっておくから、君は報告書を完成させなさい」と一言。

(編集委員 前田裕之)

[日経プラスワン2013年7月6日付]

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