「女性が働き続けられる環境ができれば、すぐに管理職も増えるかしら」。明日香が厚労省を訪ねると、雇用均等政策課の政策係長、越沼綾乃さんが「そもそも職場に候補女性が少ない可能性があります」と調査結果を差し出した。女性管理職がいないか少ないという企業に理由(複数回答)を聞くと、「現時点では必要な知識や経験、判断力を有する女性がいない」という回答が54%と最も多かったという。離職率の高さに加え、入社の段階で総合職より一般職などを選ぶ女性が多いことも影響しているようだ。

大学の専攻、仕事に不利

「企業が変わるだけでは不十分なのかも」。明日香が事務所で腕組みしていると、遊びに来ていた“何でもコンサルタント”の垣根払太がヒントをくれた。「大学までの教育について調べてごらん。海外には男女の賃金格差のかなりの部分が学部の選択で説明できるという研究があるよ」

そこで明日香は経済協力開発機構(OECD)の調査を見てみると、日本は経済・ビジネス系や科学技術系の学部学生に占める女性の比率は加盟国中いずれも最下位グループであることがわかった。

明日香は女性の学部選択と就職・結婚の関係について経済学的に分析した大阪大学教授の石田潤一郎さんに意見を求めた。「女性が教育という“投資”をしても、出産や育児などで仕事を離れる時間が長いと成果を回収しにくいのです」と石田さんは指摘する。高所得の職に就くと結婚相手として敬遠される傾向があったことも影響した可能性があるという。「保育施設の拡充や男性の家事参加が進んで投資を回収しやすくなれば、学部選びも変わるはず」

明日香はキャリア教育に詳しい日本女子大学教授の大沢真知子さんを訪ねた。「若いうちにいろんな選択肢を試せないと自分が何に向いているかは分かりません。大学入学後に学部や学校を移ったり、就職後も大学で学び直して人事コースを変えられたりする仕組みも有効でしょう」と指摘した。