2013/6/20

暮らしの知恵

実際に雑談するときはどう振る舞えばいいのだろうか。書籍「雑談力」の監修者で、メンタルヘルスに詳しい武藤清栄さんは「営業や打ち合わせの場ではできれば正面ではなく、はす向かいの席に座ると話しやすい」と助言する。

ただし上半身はしっかり相手に向ける。目線は目より口元周辺を見るとお互いリラックスしやすい。「気後れしてうまく言葉が出てこない場合は、その気持ちを言葉にしよう。こちらが素直になれば、先方も心を開いてくれるのでは」(武藤さん)。「今日は少し緊張しております」「ご多用中、ご迷惑かとも思ったのですが」などだ。

雑談の糸口として相手の時計やネクタイなど、身の回りのものをほめるのは常道だ。ただ渡瀬さんは「むやみにほめるとわざとらしい感じもする。お世辞を並べるより『珍しい文字盤ですね』などと感想を述べた方が自然では」と話す。相手の答えから時計へのこだわりを感じれば「一番お気に入りの時計は」などと、話を掘り下げればいい。

とはいっても、あくまで「空気を読みながら」が鉄則。立ち入ったことを聞いて、嫌がられないようにしたい。先方が違和感を抱いているようなら「ところで」と話題を変えよう。窓の外の景色を話題にしてもいいし、本棚の専門書について尋ねてもいい。

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途中、会話が途切れても、焦る必要はない。渡瀬さんは「沈黙を大切にして」という。何かを伝えようと言葉を探しているのかもしれないし、考えを深めているのかもしれない。自分の言葉で遮らず、堂々と待とう。

雑談の目的は互いの心を開き、信頼関係をつくること。そのカギとなるのは「リアクション」だ。話に共感し「よかったら、あなたのことをもう少し教えてください」と興味を持つ。「ときどき相づちを打ち、共感を示すことも大切」と武藤さん。自分から一歩、相手に歩み寄る気持ちがあれば、別れた後、心地よい印象を残せるにちがいない。

(ライター 西川 敦子)

[日経プラスワン2013年6月15日付]

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