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辛い料理、なぜ夏バテに効く メカニズムと注意点

2013/6/20 日本経済新聞 プラスワン

 食欲の不振やだるさなど、暑さで体の調子が悪くなる「夏バテ」には、辛いものを食べて食欲を高めるという工夫が昔からされてきた。トウガラシやコショウ、ショウガやワサビといった辛い調味料は、実際、体にどのように作用しているのだろうか? 辛さと上手に付き合うポイントをまとめた。

 そもそも辛みとは「味覚ではなく痛みのこと」。静岡県立大学の教授で「トウガラシ――辛味の科学」などを編さんした渡辺達夫さんによると、甘いとか、うまいといった味覚とは違い、辛みは熱さや痛みを引き起こす物質として脳に伝わる。トウガラシやワサビは口に入れると辛く感じるが、目に入ったり、傷口に触れたりすると激痛が走るのは痛覚を刺激している証拠だ。

 では「暑い時は辛い物がいい」といわれるのはなぜだろう。

■皮膚温が上がる

 消化器が辛さの刺激を受けると、自律神経に連絡がいく。自律神経は、無意識のうちに胃腸のはたらきや心臓の拍動、代謝や体温など体の機能を調節している。その自立神経は「昼の神経」と呼ばれ体を活発にはたらかせる交感神経、「夜の神経」と呼ばれリラックスをつかさどる副交感神経の2つの神経系からなっている。このうち「辛さは交感神経のはたらきを活性化する」(渡辺さん)。

 トウガラシなどの辛み成分、カプサイシンを含む食べ物を摂取すると、だんだん皮膚表面の体温が上がる。食べるうちに暑く感じてきて、汗が出てくる。ただし皮膚温の上昇は一時的なもの。汗と共に皮膚から体熱が逃げ、皮膚表面の温度は食べ始めた頃よりも逆に下がってくる。この温度差によって、爽やかに感じるというメカニズムだ。

 カプサイシンはほかにも、消化器の血流をよくして胃の粘膜を保護したり、代謝を高めて脂肪燃焼を助けたりする作用もあるとされる。

 中南米や東南アジアなど暑い地域で辛い料理が多いのは、そこに住む人々が経験則でこのはたらきを知っていたからだろう。

■胃腸に負担も

 もっとも、辛い料理を食べた後に胃が痛む、翌朝のトイレがつらいという人もいる。消化器に詳しい全日本病院協会常任理事の西昂さんによると「少量の辛み成分ならば胃の血流を増やし粘膜を保護するが、大量にとったり辛さの度合いが強すぎたりすると逆に粘膜を損傷する恐れがある」。トウガラシに含まれるカプサイシン、コショウに含まれるピペリン、ショウガに含まれるジンゲロールなどが同じように作用する可能性があるという。

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