こうした「バリアフリー旅行」をさらに推進するため、観光庁は手助けが必要な人が旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」の普及を目指す。12年には旅行会社や医療者らで構成する検討会を設置、安心して参加できる旅行のあり方などを議論。10年の国内の旅行消費額は00年に比べ、20%減と低迷する中、「高齢者や障害者の旅行需要を掘り起こし、観光産業を含め日本経済全体の活性化につなげたい」との思惑もある。

25年には75歳以上は3600万人超と予想される。高齢化社会に求められる「バリアフリー旅行」の普及には医療・介護、旅行会社、行政の連携によるサポートが不可欠だ。観光庁の検討会で座長を務めた一般社団法人「日本福祉のまちづくり学会」(東京)の秋山哲男副会長は「観光地に詳しく介護もできる介助者の育成や紹介のほか、旅先での緊急時の医療機関に関する情報提供など利用者の立場に立った支援を広げてほしい」と話す。

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費用の高さ、普及のネック

お年寄りや障害者にとっては、同行する介助者の旅費を負担するケースが多く、高額になりがちだ。負担軽減を求める声も少なくない。

内閣府の2011年度の調査によると、優先的にお金を使いたいこととして、60歳以上の38%が「旅行」をあげる。旅行意欲が旺盛な一方で、自由に参加できるツアーは少ない。11年度の旅行会社に対する調査では「介助者の同伴など高コスト。少量販売で収益が確保できない」という回答があり、採算面から消極的にならざるを得ない旅行会社の姿勢が垣間見える。

ある旅行会社の企画では、リフト付きバスの手配や同伴者の費用を含め1人当たりの旅行代金は2倍に。別の旅行では重度の要介護の場合、旅行者が介助者の費用1日およそ2万6000円を負担するケースもあるという。

NPO法人「ジャパン・トラベルボランティア・ネットワーク」(東京都多摩市)のおそどまさこ代表は「高齢者のリハビリなどに旅行が効果的であるならば、旅行に行きやすくなるように、付き添う人の旅費を国などが負担してもいいのではないか」と話している。

(後藤健、塩崎健太郎)

[日本経済新聞夕刊2013年6月13日付]

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