独自に資格認定

NPO法人「日本トラベルヘルパー協会」(東京)は06年から、旅行に同行する「トラベルヘルパー」の養成を始めた。基礎講義や砂利道での車いすの補助や入浴介助などの実地研修を受ける。ホームヘルパー2級以上が認定条件で、すでに300人弱を養成。末期がん患者や認知症の高齢者ら約1500人の旅行に付き添った。「日常生活と旅行先の介助とは異なる。旅行中に必要な介助を専門的に学ぶことで、より安全に旅が楽しめる」(同協会)

介護旅行専門会社「SPIあ・える倶楽部」(東京)は旅行前、家族らを通じ、主治医から症状や服用薬など“カルテ”を入手しておく。体調悪化に備え、旅行先の医療機関でも症状が分かるよう薬手帳や通院先の診察券などを持参してもらう。

リハビリの励みに

高齢者らの旅行事情に詳しい三軒茶屋リハビリテーションクリニック(東京)の長谷川幹院長は「旅先で症状が急変しても病院で適切な治療を受けられるよう、事前に主治医からの注意を確認する必要がある」と指摘する。

その上で「高齢者らには旅行のハードルは高いが、一度乗り越えれば自信を持てる。次の旅行を目標に、歩く練習の回数を増やすなどリハビリにも前向きになる」と説明。実際、長谷川院長の受け持つパーキンソン病の80代の女性患者は小声でしか話せなかったのに、旅行から帰ってからは、はっきりとした声を出すようになり、旅にはリハビリ効果があると感じたという。

旅行会社も知恵を絞る。阪急交通社は高齢者住宅の入居者を対象に日帰りや宿泊付きの旅行をスタートさせた。少人数の高齢者らの旅行を手がける「ベルテンポ・トラベル・アンドコンサルタンツ」(東京)も地元人気店の情報を事前に入手。行列に並び、地元のおいしい食事を頂くツアーを企画した。

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