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エコノ探偵団

磁気テープなぜ復活? 生産量3年連続プラスに

2013/6/11 日本経済新聞 プラスワン

 「磁気テープへの問い合わせが最近増えました」とのIT(情報技術)会社社員のつぶやきに、神田のご隠居、古石鉄之介が「わしもカラオケに使っておるぞ」と応じた。探偵の松田章司が「磁気テープ復活?ワケがありそう」と調査へ出た。

■企業、データ保存に重宝

 章司はまず家電量販店のビックロビックカメラ新宿東口店(東京都新宿区)を訪ねた。録画再生用のDVDやブルーレイ・ディスク(BD)が山積みの広い売り場の一角に、カセットテープ数種類のお買い得パックが積まれていた。店内には録音再生機も20機種ほどが陳列されていた。

 「まだ売っているんだ」。章司が驚くとオーディオコーナー主任の冨樫豊さん(35)が「カセットテープの人気は根強く、いまも一定の販売量があります」と教えてくれた。インターネットで音楽を購入し、携帯プレーヤーなどで聴く時代にはなったが「ネットが苦手な年配のカラオケ愛好家らが使っているようです」と冨樫さん。

 とはいえソニーはポータブル型録音再生機3機種の販売をやめると昨年末に発表。映像用ビデオテープは店頭に並べても売れなくなったという話を聞かされて「やっぱり磁気テープはなくなる運命か」と章司はため息をついた。

 すると富士フイルムの記録メディア事業部担当部長の江尻清美さん(54)が声をかけてきた。「磁気テープを使った記録メディアには音楽・映像用だけでなく、コンピューターのデータ保存用もあります。実はデータ保存用の需要が徐々に伸びています」

 江尻さんがサンプルを取りに行っている間、章司はタブレット(多機能携帯端末)で経済産業省の統計を調べた。磁気テープ生産量は2012年度に約3億7732万平方メートルと前の年より7%弱増え、3年連続のプラスに。90年代の約5分の1の水準で、価格低下で生産額も減少しているが「確かに生産量は上向いている」と納得した。

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