「ドリーム小説」恋の筋書き、主役は自分
コトバ百貨店
10代のころよくやった妄想といえば、ロックスターと恋に落ち、私だけのライブに招待されること。嫉妬(しっと)に燃えるほかのファンにもまれながらひとり会場に入ると、ステージの彼が言うのだ。「ウエルカム、メグミ」。キャッ。
とはいえ現実は甘くない。その後結婚したロックスターでも何でもない夫は、オヤジバンドが趣味で、調子っぱずれなギターを、毎日聞かされるハメに。これもたしかに、私の独占ライブだけど。
というわけで、今週のお品物は「ドリ小」。「ドリーム小説」の略で、主人公の名前を自分の名前に変えて読める、ネット上の女性向け恋愛小説のことを言う。作中で恋のお相手となるのは、実在の男性スターやアニメの主人公など。誰かが妄想全開で書いたような、ドリーミンなストーリーが多いのも特徴だ。
さっそく、ある国民的アイドルと恋に落ちる作品を読んでみた。「恵」と設定したヒロインは24歳のOL。そんな小娘の恋愛に感情移入しろって? と上から目線で読み進めたが、「恵、好きになってもいいかな」と言われたあたりで、不覚にも胸きゅん。ま、これって一種のイメージトレーニング。アンチエイジングにもいいかも?
(ライター 福光 恵)
[日経プラスワン2013年6月8日付]
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