きゃりーぱみゅぱみゅファッションと融合、夢の世界へ

カラフルなファッションも楽しませる(AKIISHI 撮影)

原宿系のファッションモデルを振り出しに、一昨年歌手デビュー。20歳になった今年、早くも海外公演を成功させた。この日が「ワールドツアー」の最終日。ステージにはパイプをくわえたオジサン顔の巨大イモムシ、懐かしいゲームを思わせるキノコなど、ファンタジーの世界にいざなうセットが置かれている。

サーカス風のBGMに続いて彼女が登場すると、場内はにぎやかな遊園地と化した。ダンサーはピエロのいでたち。子供のダンサーに囲まれて歌う彼女は、さながら白雪姫だ。不思議の国のような演出は最後まで続いた。

こうした趣向にも、本人の感性が反映されている。アイドル歌手というより、現代アートの美術作家を思わせる。音楽とファッションを融合し、テーマパーク風の夢の世界をつくろうとしている。

懐かしい遊園地のようなステージ(AKIISHI 撮影)

格好いいアレンジが施されてはいるが、曲そのものは素朴な旋律の繰り返しが多く、子供番組で歌われそうな覚えやすさが特徴だ。作者はテクノポップの気鋭、中田ヤスタカ。恋愛の歌は少なく、日本語の響きや言葉遊びの面白さが重視されている。

「飛んでけ にんじゃりばんばん」「つけまつけま つけまつける」。こんなフレーズが繰り返される。必ず簡単な振り付けも伴っている。聴覚と視覚、肉体感覚。3つそろった訴えかけは強烈で、会場を出ても「だ だ だ だ インベーダー」のフレーズが頭を離れなかった。

子供でも外国人でもすぐに歌えそうな音楽に、少し毒もある「かわいい」ファッションとファンタジー色たっぷりの演出で、年齢も国境も超えていく。普遍的な表現の可能性を追った創造的なライブだった。5月30日、渋谷公会堂。

(編集委員 吉田俊宏)

巨大なリンゴには、映像を映し出すモニター画面がついている(AKIISHI 撮影)
アンコールのいでたちもユニーク(AKIISHI 撮影)
親しみやすい振り付けで子供にも人気がある(AKIISHI 撮影)