自然なのはグレー お気に入りサングラスの選び方
日差しがまぶしい季節がやってくる。サングラスは夏に手放せないファッションアイテムだ。店頭には色や形など様々なサングラスが並び、どれを選べばよいか迷ってしまいがちだ。機能性とファッション性を兼ね備えたお気に入りの一本を選ぶための注意点を紹介する。
■鼻と眉の形意識して
「サングラスは5つあるけど、どれも周囲から変だといわれてしまう」。東京都新宿区で働く神田和子さん(仮名、46)はこう話す。それぞれの形は、大型で楕円形の「オーバル」や、チョウの羽のような「バタフライ」、小さめで台形を逆さにした「ウェリントン」など様々。レンズの色も黒、茶、紫、青、ピンクとそろえたが、どれもしっくりこない。
夏の重要なファッションアイテムでもあるサングラス。神田さんのように「似合わない」悩みを抱える人は案外多い。眼鏡ショップ「JINS」を運営するジェイアイエヌマーケティング室の中島英摩さんは「その主たる原因は鼻の高さ問題だ」と指摘する。
高さが合わないと、ずり落ちて頬でレンズを支えたり、眉がフレームの上部より大きく上に出たりする。眉はギリギリフレーム上部に重なるぐらいで、上部ラインの形状と眉の形が合っていると理想的だ。自分の鼻の高さに合わせて選ぼう。
「鼻の幅も大きな要素」。個人向けファッションアドバイスも手掛けるシモトリパーソナルスタイリングオフィス(東京都渋谷区)代表取締役の霜鳥真紀子さんは助言する。欧米人は鼻幅が細く、日本人は比較的広い。欧米人向けに作られた鼻幅の狭いサングラスを日本人が着用すると、顔の中心にレンズが寄ってしまい、顔が大きく見えてしまう失敗がよくある。
レンズの色選びもコツがある。色によって視界に差があるので、よく使う状況を考えながら選ぶ。和真新宿ANNEXの池田寛之店長は「茶色は物をくっきり見せてくれ、青はまぶしさをカットしやすいなどの特徴がある。最も自然なのはグレーだ」と話す。
ファッション性重視なら肌の色との相性がポイントだ。霜鳥さんは「肌の黄みが濃い人は茶系を。赤みのある人は黒や青のレンズが合う」と話す。フレームはレンズの色と同系色の方が顔になじみやすい。
サングラスは機能面も忘れてはいけない。有害な紫外線をどれだけカットできるかが、紫外線透過率という数字で「0.1%」「0.3%」などと表示されている。0.1%なら99.9%の紫外線を防ぐという意味だ。通常の用途なら透過率0.3%で十分だ。
レンズの色やその濃淡と紫外線カット率は直接関係しない。色がついただけのファッショングラスの場合、光を取り込もうと瞳が広がる半面、紫外線はカットしないので目の奥にまで紫外線が入り込み、逆に健康リスクが増す恐れもある。
■目の形見えると安心
欧米人と比べると、サングラスを普段から着用している日本人は少ない。そのため目を守るためにかけていても「格好付けている」と誤解されることもある。かけてはいけない場所や、やってはいけないマナーなども考えよう。人を訪ねるときは、会う前に外すなど配慮が大切だ。
大古里 育ちの森幼稚園(さいたま市)は約10年前から紫外線の健康影響を考え、子どもや親にサングラス着用を推奨している。保護者の一人、荒木麗夏さん(32)は無色に近い透明レンズと紺色をうまく使い分けている。「無色なら、人と話をするときもかけたままいられる」。桂川寿美子さん(39)は「子どもに不安感を与えないよう、目が外から見えるものにした」と話す。
ポイントは相手から目が見えるかどうか。目はコミュニケーションの大切な要素。真っ黒なサングラスで目を覆ってしまうと表情が読み取れず、相手は戸惑ったり不快感を持ったりする。黒でなくてもレンズの色が濃すぎるとやはり相手からは見えないので要注意だ。
周囲からどう見えるのかを購入時に鏡で確認しよう。東京オプチカル(東京都杉並区)は写真を撮って複数のサングラスをパソコン画面上で見比べられる。
サングラスは目をひくファッションアイテムなので全体のファッションコーディネートも大切だ。例えばサングラスをかけるときは、ピアスやイヤリング、ネックレスなどは大振りなものを避けた方が無難だ。さもないと華美になりすぎる。大事な目を守るためにもTPOに合った着用を心がけよう。
(吉野真由美)
[日経プラスワン2013年6月1日付]
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