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「江戸絵画の奇跡」展 庶民文化の豊かさ伝える

2013/6/4 日本経済新聞 朝刊

日本文化の魅力を外国人に教えられる。一見妙なようだが、日本人は結構それを楽しんできた。

東京・両国の江戸東京博物館で開催中の「ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡」を見て、その喜びをまた感じた。米ワシントン郊外に住むファインバーグ夫妻が約40年かけて集めたコレクションの初めての里帰り展だが、出展作が教えるのは江戸期の庶民芸術の深い味わいだ。

菱川師宣「吉原風俗図」は、幕府公認の遊郭だった吉原の揚屋(あげや)での情景を、臨場感豊かに描いた風俗画。茶をたてたりお膳を運んだりする台所の様子や、遊女と客の床入りの情景が、優美な筆致で活写されている。当時の吉原遊郭内部の現場中継を見るかのような作品だが、女たちの生き生きしたしぐさや、着物や夜具の色彩感からは、気品さえ感じられる。17世紀の庶民文化の豊かさを現代に伝える逸品だろう。

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