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がん予防手術、関心高まる 効果とリスク熟知を A・ジョリーさん契機に

2013/5/31 日本経済新聞 夕刊

 米人気女優アンジェリーナ・ジョリーさん(37)が乳がん予防のため乳房を切除したことで、予防手術への関心が高まっている。がん発症の可能性が高い遺伝子変異を調べる検査への相談が急増、予防手術を始める病院も相次ぐ。治療法の選択肢が増える一方で、検査や手術を受けるかどうかの「決断」に本人や家族の心は揺れ動く。

 「親族が乳がんを発症して不安」「遺伝子検査で発症の可能性を知っておくべきか」。東京女子医大(東京・新宿)の遺伝子医療センター。ジョリーさんが今月、予防手術を「告白」して以降、乳がんに関する遺伝子検査への問い合わせが後を絶たない。

精神的負担大きく

 臨床遺伝専門医ら4人が約1時間、検査希望者と面談。親族の病歴や家庭環境を聞き取り、家族の支えの有無などを見極めた上で検査を提案する。採血から結果までは約1カ月。専門医は患者に変異の有無を伝え、変異がある「陽性」の場合、将来の乳がん発症リスクなどを説明する。

 乳がんを発症した妹を持つ40代の女性は今春、遺伝子検査を受けた。「陰性」の結果にも、女性は「夜も眠れないほど不安な日々が続いた」と振り返った。

遺伝子検査にカウンセリングは欠かせない(28日、患者に説明する東京女子医大の斎藤所長(右))

 母を乳がんで亡くした30代の女性の結果は「陽性」だった。「自分の発症の可能性を知りたかった」というが、結果を受け止めきれずにカウンセリングを継続している。

 これまで同センターの乳がんの遺伝子検査は年間5人ほど。現在は相談だけで20件と反響は大きい。斎藤加代子所長は「陽性のショックは大きく、慎重に検査の提案を行う」と語る。

 この遺伝子検査が国内で始まったのは、2006年ごろ。全国で約80の医療機関が実施、1000人以上が検査を受けたという。40歳未満で乳がんを発症したり、卵巣がんを発症した血縁者がいる女性が目立つ。

 これまでは、マンモグラフィーなどこまめな検診や片方の乳房にがんができた場合は「ホルモン剤の服用」が一般的だった。将来がんになるリスクや不安を減らす治療法として、ジョリーさんが受けたような予防手術の準備が国内でも進んでいる。

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