先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました! 小林朋道著玄関のハチは家族の一員か

2013/5/31付
(築地書館・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

鳥取環境大学の小林先生が獅子奮迅の活躍をする「生き物」シリーズも、とうとう7作目。回を追うごとに愉快な仲間が増えてきて、今回は大学構内で雛(ひな)を育てる野鳥や、厳しい冬を乗り越えるカエルたちの感動的な物語が展開する。

 さて、自宅玄関先に作られたハチの巣に喜び、その気持ちを分かち合おうと奥さんに報告した小林先生。あっさりとハチの巣の撤去を申し渡され、大ピンチを迎えてしまう。

 「『あのアシナガバチはもう何日も玄関で暮らして、私とも顔なじみになっている。(中略)玄関のハチは、一つ屋根の下で暮らす家族の一員みたいなものだ!』そんな感動的な私の言葉に対して、妻はなんと言ったか。妻は表情一つ変えず(少々、哀れみの表情さえ目元にただよわせて)、ゆっくり落ち着いた声で言ったのである。『家族の一員ではありません』」結末やいかに?

 ところで、このシリーズをずっと楽しんできた読者には寂しいお知らせがある。鳥取環境大学ヤギ部の部員第1号、ヤギコが、昨年2月に他界したそうだ。巻頭にはヤギコを偲(しの)んでカラーアルバムがつけられていて、感慨深い。

★★★★★

(サイエンス作家 竹内薫)

[日本経済新聞夕刊2013年5月29日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学

著者:小林 朋道
出版:築地書館
価格:1,680円(税込み)