季節の変わり目、ひどくなる腰痛は「気象病」気圧・温度変化が一因

動物実験では気温と気圧がそれぞれ下がったとき、心拍数と血圧が10%高まった。ストレスがかかった際に出る「ノルアドレナリン」という物質の量も増えていた。背中の交感神経を切ったネズミで実験したところ、気温や気圧が変化しても通常のネズミと変わらなくなった。「交感神経が関係していることが分かった」(佐藤准教授)

交感神経の乱れが関わるとなれば、気管支ぜんそくや緑内障、精神疾患など様々な病気が発症しやすくなる。「こうした病気も、季節の変わり目や特定の季節が発症の一因になる気象病といえるだろう」と佐藤准教授は解説する。

■規則正しい生活を

痛みが変化する印象が強いが、気温や気圧の影響は慢性痛の悪化だけではない。心筋梗塞の発症にも関係している。気象予報士でもある立川病院(東京都立川市)脳神経外科の福永篤志医長は、気圧が低いときで、気温が低いときには心筋梗塞が多くなるという研究報告があると説明する。

病気のリスクが高まる季節の変わり目をどう過ごせば、こうした病気の発症を防げるのか。

佐藤准教授は、ストレスをため込まず、適度な運動をし、規則正しい生活をするよう勧める。梅雨時で曇りがちになると外出を控えたくなるが、運動を続けるのは良いようだ。慢性症状が残る人も、かかりつけ医と相談してみよう。

福永医長は天気の変化で血圧が上がりがちな点に注目しており、「動脈硬化の予防を心がけたい」という。特に水分の摂取について「就寝前にコップ1杯飲むといい」と話す。お茶だと利尿作用があり、よほど激しい運動をした後でない限り「水で十分」(福永医長)だ。脂分の多い食事を控え、適度な飲酒、禁煙もよく言われる。

気象病の予防も、行き着くところは生活習慣病対策だ。季節の変わり目に気分を一新、改めて健康生活に取り組むといいだろう。

(新井重徳)

[日本経済新聞夕刊2013年5月24日付]

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