スマホの「危険」、セキュリティーアプリで守る
情報流出を防止・紛失時すぐ発見
仕事や生活に不可欠な存在になりつつあるスマートフォン(スマホ)。気がつけば、小さな端末はメールや連絡先、各種パスワード、SNSのデータ、業務用アプリなど、重要な情報が満載だ。紛失や故障でデータを取り出せなくなったり、不正アプリでパスワードや内部データを盗み取られたりする危険が常にある。不測の事態で慌てる前に、スマホ向けのセキュリティーアプリを使い自己防衛しよう。
「動画や占いのアプリをインストールしたら、アドレス帳のデータを盗まれていた」「育児情報アプリを使ったら、身に覚えのないアダルトサイト利用料の請求メールが大量に来た」「ツイッターで表示されたURLをクリックしたら、ウェブブラウザーが使えなくなった」――。いずれも、国内のスマホユーザーの間で実際に起こったトラブルだ。スマホの急速な普及に合わせ、悪意ある個人や組織がスマホを標的に、不正アプリや詐欺サイトを使い個人情報を盗んだり詐欺を働いたりするケースが急増している。
公式配信に混入
アンドロイドOS搭載スマホを狙う不正アプリは2012年末までに35万個確認されており、「13年末には100万個に達する」(トレンドマイクロ)勢いだ。
やっかいなのは、こうした不正アプリのうち、グーグルが運営する、アンドロイド向け公式コンテンツ配布サービス「グーグルプレー」経由で配信されているものが23%もある点だ。公式配信サービスに不正アプリが混入しているのでは、通常のアプリと見分けるのは難しい。
トラブルを防ぐ上で役立つのがセキュリティーアプリだ。そうと知らずに不正アプリをインストールしようとしたり、ブラウザーで詐欺サイトに接続したりする際に、注意を促し自動的に遮断してくれる。スマホ内部を定期的にウイルス検索する機能、指定した番号からの着信を遮断する機能なども備える。
もう一つの目玉機能が、スマホの紛失・盗難対策だ。
最も有用なのが、スマホがどこにあるのかを遠隔操作で調べられる機能。スマホの紛失時に、アプリ提供各社の運営する専用ウェブサイトにパソコンから接続し「探す」というボタンを押すと、スマホが搭載する全地球測位システム(GPS)が作動する。誤差数~数十メートルの精度で、パソコンに表示される地図上で確認できる。
自宅のどこかにスマホがあるはずだが見つからない。そんな場合は、遠隔アラーム機能が便利だ。スマホがマナーモードになっていても音を鳴らせる。
万一スマホが盗まれた場合も手立てがある。第三者が端末を操作できないよう遠隔でロックし「拾った方は警察に届けて」などのメッセージを表示できるほか、最終手段としてスマホ内の全データを消去する機能も用意してある。シマンテックの製品は、遠隔でスマホの内蔵カメラを起動させ、周囲の様子を撮影する機能もある。
万全とはいえず
主要各社のセキュリティーアプリはグーグルプレーのほか、家電量販店でも購入可能。スマホと同時購入すると値引きしてくれる店舗もある。
携帯電話会社のサービスを使う手もある。例えばKDDIの「安心セキュリティパック」は、トレンドマイクロの「ウイルスバスターモバイル」と、同社オペレーターによるスマホの遠隔サポートサービスを合わせて、月額315円で提供している。
ただ、セキュリティーアプリを使えば絶対安心とはいかない。一般に新たな不正アプリや詐欺サイトは、検出可能になるまでに数時間~数日かかる。その間はアプリが認識できず、すり抜ける場合がある。
一方、アップルの「アイフォーン」に対応したセキュリティーアプリは、数も提供機能も少ない。不正アプリの被害は少ないとはいえ、紛失・盗難や不正サイト接続といったリスクがあるのはアイフォーンも同じだ。
シマンテックが位置検索とアドレス帳のバックアップ機能を、トレンドマイクロが詐欺サイト検出機能付きブラウザーを、それぞれ提供しているので、利用を検討しよう。
(電子報道部 金子寛人)
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