明治座5月花形歌舞伎勘九郎、親勝りの骨格

新開場に湧く歌舞伎座に第一線級が集結する一方、明治座には染五郎、愛之助、勘九郎、七之助と生きのいいところが顔をそろえる。丸本時代物、江戸の世話物、新歌舞伎、長唄舞踊、そして珍しい上方物の復活と歌舞伎の様々なジャンルを見せながら、歌舞伎芸の基本にかかわる演目をそろえたところも花形歌舞伎にふさわしい。

勘九郎の「実盛物語」が素晴らしい。骨格正しく肚(はら)もあり情もあり、地に足の付いた芸を見せる。丸本物らしい骨格という意味では親勝りといっても過言でない。七之助の小万、錦吾の九郎助、高麗蔵の葵御前と適材適所だが、吉弥の婆役がしっかりしているのに驚く。亀蔵の瀬尾が死に際の落入(おちい)りに平馬(へいま)返り(座ったまま後ろに返る)を見せるのもよき心意気だ。