太ってなくても指導 メタボ健診プログラム改訂酒やたばこにも厳しく

禁煙や減酒などの生活指導も強化された。例えば飲酒習慣は国際的に使われているAUDIT(アルコール使用障害スクリーニング)で評価できる。日常的な飲酒の頻度や量、飲酒が仕事や日常生活に影響を及ぼした経験など、10の項目をチェックすることで飲酒習慣を0点~40点の範囲で表し、その点数をもとに生活指導をする。

国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は「日本は、欧米と比較して飲酒に対して寛容な文化があるため、減酒支援は遅れてきた」と話す。適度なお酒は心臓病のリスクを低下させるという臨床報告があるほか、精神的ストレスの緩和にも役立つため、大目に見られてきたという点もある。

実際、AUDITでは、いわゆる健康的な飲酒と評価されるのは7点以下であるが「自分は上手にお酒を楽しんでいる」と考えている人でも8点以上になるケースは多くなりそうだ。

「減酒」を促す

15点以上の場合はアルコール依存の可能性もある。樋口院長は「これまでの臨床研究によって、日常的な飲酒量を減らすことが血圧、血糖値の改善に役立つことが分かっている。アルコール依存の早期発見も大切だが、8~14点の人に減酒を促すことが、今回の改訂の最大の目的」と話す。新保健指導プログラムでは飲酒日記を使うことで、自分で飲酒量をコントロールする方法も提案している。

今回の改訂では、受診者に検査結果を通知する際の情報提供の資料として、具体性な生活改善のアドバイスを含んだ文例集を作成した。津下センター長は「国や自治体では保健指導医のスキルアップに努めている。さらに、この文例集を活用することで、多くの受診者が生活改善に取り組みやすくなった」と説明する。

会社勤めの多くの人が年1回受診するメタボ健診。保健指導によって得られる具体的情報を参考に「今日からやれる生活改善」をピックアップ。それを1年間の目標にすることで健康増進につなげたい。

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■慢性腎臓病を早期に発見

保健指導プログラムの改訂には、多くの医学会の意見が取り入れられた。例えば、日本腎臓学会は、将来腎臓透析が必要となったり、心臓病で亡くなったりするリスクを高めるCKD(慢性腎臓病)の早期発見に取り組んでいる。

リスクは血清クレアチニン値と尿蛋白などから算定できるが、血清クレアチン値を必須項目に加えることは、今回見送られた。血清クレアチニン値が調べられていない場合、尿蛋白が陽性(+以上)の人はすぐに医療機関で血清クレアチニン値の検査を、弱陽性(+-)の人は尿蛋白の再検査を受けるという指導文例も新たに設けられた。

(ライター 荒川 直樹)

[日経プラスワン2013年5月11日付]

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