アプリで予報「女子天気」 気候に合わせて服装提案
女性の朝は忙しい。天気が変われば服装もメークも変わる。スーツ姿が多い男性にはそれほど気にならなくても、女性にとって天気は毎朝の大きな関心事だ。そんな悩みに応える天気予報アプリ(応用ソフト)がじわり人気を呼んでいる。単なる天気予報にとどまらず、その日ごとの服装コーディネートを提案したり、紫外線情報を提供したりする機能が、女性の日々の悩みを解決してくれる。
「以前からスマートフォン(スマホ)に普通の天気予報アプリは入れていたけれど、毎日チェックしていなかった」。大手総合商社に務める後藤紗江子さん(仮名、24)は最近、毎朝スマホで天気予報アプリを確認する習慣が身についた。後藤さんは単に降水確率や気温をチェックしているわけではない。
イラストや写真で
後藤さんが利用するのはリクルートホールディングスが提供する「おしゃれ天気」。最大の特徴は、その日の天気に最適な服装コーディネートを提案してくれることにある。
ストールやジャケットを1枚多く羽織っていくか――。スーツという「定型」がある多くの男性と違い、女性の服装コーディネートはアイテム1つを変えれば全体を変更しなければならないほど複雑な問題。その日の気候に合わせたアドバイスは毎朝の貴重な情報源だ。
昼間は暖かくても夕方から冷え込むので、上着やストールを1枚羽織っていく。午後から降水確率が上がるので折り畳み傘を持ち歩く。こうしたアドバイスをイラストで表示し、一目でその日のコーディネートがわかる仕組みだ。気温や雨の有無、女性の服装の好みごとに、その種類は全144パターンにのぼる。ここから毎日、朝夕に4パターンを配信する。
「毎朝クローゼットの前で悩む時間がなくなった」という後藤さん。服装、メーク、朝食と、何かと忙しい出勤前の時間帯に、スマホを眺めるだけでコーディネートがすんなり決まるようになった。
女性の心をつかむもう一つの理由はデザインだ。半年以上にわたって「おしゃれ天気」ユーザーという東京都内の大学3年生、酒見奈那子さん(20)は「どんな女性でも好きな色合いで、知りたい情報がうまく整理されている」と満足げだ。全体はピンク色を基調に、かわいらしいフォントの文字やイラストをふんだんにちりばめている。毎日チェックするものだけに、女性になじんでもらうためのデザインも重要なポイントだ。
カタボー(東京・渋谷)が米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」向けに提供する「Weather Wear(ウェザーウェアー)」も天気予報と服装情報がセットで提供される。毎日3種類のコーディネートを配信。このアプリはイラストではなく実際にモデルが服を着た写真を提供するため、より具体的な服装のイメージが湧きやすい。
さらに買い物機能も備えている。モデルの着る服は13のアパレルブランドから提供されており、気に入ったものがあれば、そのまま通販サイトに移動できる。
紫外線の対策術も
朝の女性を悩ませるのは服装だけに限らない。「紫外線の量に合わせてファンデーションの種類を選ぶ」という声もある。ネスレ日本のアプリ「ネスレUV予報」では、天気予報に加えて紫外線の強さを毎日配信している。
外出する時間帯や地域、肌の性質といったユーザー個人のデータと、その日の紫外線の強さから算出した、シミが発生する「危険度」も表示。専門家の解説によるスキンケアや紫外線についての豆知識、対策術も盛り込まれる。これから紫外線が1年で最も強くなると言われる時期に入りつつあるだけに、貴重な情報になりそうだ。
テレビをつければ天気予報はいつでも見ることができるが、アプリを駆使すれば、天気予報にとどまらない日々の「時短」テクニックが眠っている。
(産業部 北爪匡)
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