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睡眠障害の危険性も 歯ぎしり、早期対応が重要 過度なストレスも原因に

2013/5/8 日本経済新聞 朝刊

「ギリギリ」や「ギシギシ」。寝ている間に歯と歯を擦り合わせる歯ぎしりの音だ。自覚症状がない人も多いが、そのまま放置しておくと、歯がすり減るだけでなく、歯周病が発症・悪化することもある。健康を脅かす危険なサインの一つとしてとらえ、早めに対処することが大切だ。

「あなたが寝ている時のギリリ、ガリガリといった歯ぎしりの音が怖い。一度、病院にいってみたら」。東京都内のIT関連企業で働く会社員Aさん(31)は、妻からすすめられた。

病院の口腔(こうくう)外科を受診すると、歯ぎしりで歯がすり減っており、顎関節症の疑いもあると歯科医師に告げられた。Aさんは指導を受け、歯にかぶせて摩耗を防ぐマウスピースのような器具を毎日つけて寝るようになった。歯ぎしりはなくなってはいないが、現在は夫婦とも少し安心したという。

■2タイプに分類

睡眠時の歯ぎしりは、大きく2つに分類される。上下の歯を擦り合わせてギリギリと不快な音を出すタイプと、音はしないが歯と歯を強くかみしめるタイプだ。どちらも主に睡眠が浅くなる時に発生するといわれており、歯ぎしりの際に出る力は、日中強くかむ際の十数倍にも達する。そんな大きな力が1時間で4~5回、長いときには一晩で計40分近くも口の中で発生している例もある。

日本顎咬合(こうごう)学会の次期理事長、上浜正・ウエハマ歯科医院(茨城県土浦市)院長は「歯ぎしりの最大の問題は自覚症状がない人が多いことだ」と強調する。Aさんのケースでは、隣に寝ていた妻が夫の症状に気付いた。しかし、単身暮らしの場合や音がしないタイプでは、本人や家族などが気付くのはまれだという。

歯ぎしりを放置しておくとどんな症状が出るのか。多いのが圧力で歯がすり減って歯を支える組織にも影響が及び、歯周病などが発症したり悪化したりするケース。インプラント(人工歯根)やかぶせた物が破損する人もいる。

また、あごの疲れや痛み、肩こり、頭痛なども引き起こす。昭和大学歯科病院の馬場一美教授は「顎関節症の原因となる場合もある」と話す。上浜院長によると、睡眠障害につながる危険性もあると最近の研究で分かってきたという。

生活の質(QOL)低下につながる歯ぎしりだが、原因は今のところ解明されていない。以前は歯のかみ合わせが悪いと歯ぎしりが起こると考えられていた。現在は複数の要因が組み合わさって歯ぎしりを誘発している可能性が高いとみられている。遺伝的な要因と歯ぎしりの関係を調べる研究も進んでいる。

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