ペットの体調管理、アプリで楽々 体重や通院を記録
何かとストレスにさらされやすい現代人に安らぎを与えてくれるペット。家族同様に過ごしていれば体調や体の異変は気になるところ。健康維持に役立つスマートフォン(スマホ)のアプリを使えば、体重や通院の記録などが手軽にできる。日ごろから体調管理に気をつければ、病気の予防にもなりそうだ。
千葉県柏市の田中恵理子さん(31)は、結婚前から犬を2匹飼っている。夫婦の歴史をともに歩んできた存在として「本当の子どものように大切な家族」。ことのほか犬の体調管理に気を配る。
Graceful Gardenが提供するアプリ「ペットケア」に名前や誕生日、通院メモなど基本情報を登録。日々の体重も入力して、その増減をグラフで確認している。「単純な数字だけではなく、一目見て分かりやすいので助かる」と声を弾ませる。スマホは常に持ち歩いているので、記録忘れを防ぐことにも役立っているという。
病状・投薬の備忘録に
ペットフード協会(東京・千代田)によると、2012年の犬と猫の平均寿命はそれぞれ約14歳と高齢化する傾向にあるという。室内で飼う家庭が増えて異常があれば気づきやすくなったほか、医療技術の進展が影響しているようだ。
年齢とともに、予防接種の時期など多様な記録を管理する必要性が強まる。ペットを動物病院に連れて行く際にも「スマホに記録していれば、いつ、どういう状態だったか正確に獣医師に伝えられる」(田中さん)。これまでは病院の領収書を一定期間保管する必要があったという。
体重管理には食べる量の把握も欠かせない。新日本カレンダー(大阪市)のアプリ「わんこ手帳」は、朝、昼、夜の時間帯ごとに食べた量に応じたカロリーと、1日当たりの推奨カロリーを比較できる。投薬や通院予定などを記録することも可能。
ペットに突然の異変が起きた際に対応できるアプリも。USEYA(大阪市)の「だいじょうぶ?マイペット Q&A検索アプリ」を使えば、病気、けがやしつけなどペットに関する悩みを無料で現役の獣医師に相談できる。
大阪市の福原真一郎さん(32)は「ペットがむずかった際に、アプリで相談した。『水を飲むか確認して様子をみては』とアドバイスを受け落ち着くことができた」と振り返る。
現在、アンドロイド端末のみ対応する。同社の大子修社長は「アイフォーン向けアプリも今夏をメドに出したい」という。全地球測位システム(GPS)機能を使い、飼い主のいる位置から最寄りの動物病院が分かるようにできないか検討中だ。
レシピや歩数計も
スマホのアプリ以外にも、ペットの健康維持に役立つサービスは少なくない。コラビー(東京・千代田)が運営するサイト「わんわんシェフ見習い中」では、飼い主が投稿したペット向け手作りごはんのレシピを見られる。同社は年内にも専用アプリを公開し、スマホでレシピを参照しながら料理できるようにしたい考えだ。富士通は犬の前脚の長さや動く速さを基準に歩数を数える歩数計を作り、クラウド上でデータを管理できるサービスを提供している。
ペット保険事業を手掛けるアニコム損害保険(東京・新宿)によると、昨年1年間の病気やけがの治療費は犬が7万4500円、猫が4万5700円。ペットには人間のような医療保険制度はないため、症状によっては医療費がかさむこともある。
体調管理をきちんとすることで病気も防げれば、より安心して飼うことができるだろう。ペットの情報サイトを運営するペットオフィス(東京・渋谷)の鈴木圭子編集長は「ペットの健康維持に役立つアプリの歴史はまだ浅い。利便性が高いことが知られれば、より広がってくる可能性がある」と話す。
(電子報道部 皆上晃一)
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