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山梨・甲府湯村温泉 甲府鳥もつ煮 絶妙な甘辛さ、食欲増す

2013/4/30 日本経済新聞 プラスワン

山梨県の郷土料理は「ほうとう」だけではない。最近人気のニューフェースが、甲府鳥もつ煮だ。戦後間もなく甲府市のそば屋が発案し、広まった。それが全国B級グルメの祭典「B―1グランプリ」で2010年に優勝し、一躍脚光を浴びた。

甲府鳥もつ煮は、ごはんやそばと相性がよい(奥藤本店国母店)

普及団体によると、分かっているだけで甲府市内で約50店舗が鳥もつ煮を提供している。その中で発祥の店といわれる奥藤本店の国母店を訪ねた。大正2年(1913年)創業の老舗そば屋だ。4代目店主の塩見大造さん(48)は「考案したのは祖父の代。昭和25年(1950年)ころと聞いている」と話す。なぜそば屋でもつ煮なのか。そば屋は鳥南蛮などがメニューにあり、鳥肉を案外よく使う。当時、仕入れ先から「肉は売れるが、もつの買い手がいない。捨てるのも惜しい」と相談され1年間の試行錯誤の末に誕生した。

店で1番人気だという、もりそばと半ライスが付いたセット(1180円)をいただく。「もつ煮」と聞くと、汁気のある煮物を想像するに違いない。だが小皿に盛られた砂肝やハツ、レバーなどはつややかに輝き、底にも汁気はない。しょうゆと砂糖を入れた鍋に鳥もつを入れ、強火で一気に煮込み、水分を飛ばす。火を通しすぎると固くなる。微妙な火加減が腕の見せどころだ。

見た目は味が濃そうだが、一口ほお張ると甘辛さが絶妙で、ごはんが進む。しょうゆベースなので、そばつゆとの相性も抜群。鳥もつ煮、ごはん、鳥もつ煮、そば……。かくして黄金のトライアングルが完成し、みるみるすべてを平らげた。

常磐ホテルの岩風呂

この日は甲府湯村温泉に一泊。弘法大師が808年に開湯したと伝わる。宿に選んだ常磐ホテルは井伏鱒二や山口瞳などの文人墨客にも愛された。客室は広大な日本庭園を囲むようにつくられている。その中央にそびえる樹齢60年超のケヤキは井伏鱒二の大のお気に入り。テーブルとイスを木の下に運び、ワインを飲むのを滞在中の楽しみにしていたという。


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