腰痛は歩いて予防 「腹式呼吸」がポイント

外に出かけるのに気持ちのよい季節になった。「歩く」ことは、体の全身運動になるほか、実は、かなり効果的な腰痛予防にもなるという。ただし、歩き方にはポイントがある。毎日の生活の中で無理なくできる腰痛予防の秘訣を専門家に聞いた。

腰痛は、男女ともに多い疾病のひとつだ。腰は、上半身と下半身のつなぎの部分で、からだの要。内外さまざまな要因で腰痛が引き起こされる。足と歩きの研究所(横浜市)の所長で、多くのアスリートを診る理学療法士の入谷誠さんは「姿勢の乱れや筋力の低下により、体の動きの大もととなる骨盤の位置がズレて、肩コリや腰痛、膝痛など体の各所に影響が出る」と指摘する。

特に腰部は、腹横筋、腹斜筋、大腰筋、腸骨筋などの腰を支える筋肉に囲まれている。ところが、運動不足や加齢による筋肉の衰えにより、腰を支えきれなくなる。「姿勢が崩れている人は、たいてい腰の悩みも抱えているケースが多い」(入谷さん)という。

昭和大学医学部整形外科の准教授、平泉裕さんも「日常生活で、疲労しないための持久力筋である腹筋を使っていないために、腰が弱い人が多い」と指摘する。腰痛の予防には、腹筋を鍛えることが大切だという。

歩く際には、足に意識が向きがちだが「腰を使うことが大切」(平泉さん)。背骨に向かってのびている左右の腹斜筋は、骨盤を動かしている。足ではなく、腰骨を交互に前に出す気持ちで進めば、自然に腹筋を使えるうえ、足の疲労も少ないので、長く歩ける。

■体幹がしっかり

呼吸を意識することも大切だ。鼻から息を吸い、腹部を大きく膨らませ、吐くときには唇をすぼめて口からゆっくりと、腹部が大きくへこむまで腹圧をかける。「腹部を意識した腹式呼吸で、骨を支える深部筋、つまりインナーマッスルを働かせるので、体の芯である体幹がしっかりしてくる」(入谷さん)

ただ漫然と歩くのではなく、意識して歩くことが腹筋を鍛え、腰部を守る自然のコルセットをつくることになるという。あくまでも力むのではなく、肩の力を抜きながら、腹部を意識した呼吸がポイントだ。腹部に手をあてれば、動きを確認しやすい。酸素を効率よく取り込めるので、有酸素運動としても効果的だ。

「体は、使わないと休んでしまい、機能が衰えてしまう。日常の動作の中で動かすことを意識するだけでも、腹筋は鍛えられる」(平泉さん)

家の中で、台所で立ち仕事をしているときにも腹式呼吸を心がければ、腹部が自然にその感覚を覚えるようになる。通勤通学などでも、歩く前に深く腹式呼吸を繰り返してから歩き出せば、腹部を意識しながら歩くことができる。