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うつ症状、脳血流で見極め 適切な治療に道 光トポグラフィー検査に脚光

2013/4/27 日本経済新聞 夕刊

 うつ症状がある人向けに、脳の血流を測定する「光トポグラフィー」という機器を使った検査が注目されている。区別が難しい原因疾患を見分けるのを手助けする検査で、実施する医療機関が増えてきた。ただ、対象者の条件があるなど注意が必要なほか、申し込みが多すぎてなかなか受けられないところもある。
頭に取り付けた光トポグラフィーのキャップ状の装置(東大病院)

 30代、女性のAさんは、そううつ病(双極性障害)の疑いで、紹介された大学病院に入院した。問診の結果、そう状態が実は性格である可能性がわかり、光トポグラフィー検査では、うつ病のパターンが表れた。そううつ病ではあまり使われないが、うつ病には適した抗うつ剤をしっかり使ったところ、状態が改善、退院して外来に切り替えることができた。

■問診と合わせて

 「光トポグラフィー検査だけでは診断できない。問診と合わせるからこそ意味がある」と強調するのは自治医科大学の菊地千一郎講師。うつ症状の原因は様々だが、その中で「うつ病」「そううつ病」「統合失調症」の3つのうちどの可能性が高いかを探るために補助的に使われる。

 光トポグラフィーは脳を調べるのによく使う機器で、自治医大では磁気刺激を加えてうつ病を治療する経頭蓋磁気刺激(TMS)の前後の状態をみるのにも利用しているが、TMSはまだ研究段階だ。

 うつ症状の検査では、受ける人は「え」と言われたら「えんぴつ、えのぐ、えほん、えんとつ……」など、その文字で始まる単語をなるべくたくさん考えて答える。こうした課題の最中や前後に光トポグラフィーで記録した血流変化のデータを分析する。3つの病気それぞれに特徴があり、ある程度区別できる。

 ただ、だれでも検査が受けられるわけではなく、これら3つが強く疑われるうつ症状のある人が対象で、それ以外は適応外。主治医の紹介状なども必要だ。

 また、うつ症状の光トポグラフィー検査は公的医療保険が適用されていない。国の先進医療には認定されており、併用された通常の医療行為は保険の対象になる。3月1日時点で全国21医療機関が実施している。

 うつ症状は原因疾患によって薬など治療法が異なる。見極めが重要だ。「より詳しく診断する参考になる。患者本人の治療を受けるインセンティブが高まったり、治療方法の改善に役立ったりする場合がある」と東京大学の笠井清登教授は検査の利点を語る。

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