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エコノ探偵団

経済本にもアベノミクス効果 入門書の販売好調

2013/4/23 日本経済新聞 プラスワン

 「駅前の書店に経済の入門書の新刊が並んでいたわ。最近、多くなったような気がするけど、人気なのかしら」。女子学生の質問に探偵、松田章司が身を乗り出した。「僕も1冊買おうと思ってるんだ。よし、調べてみよう」

 まず、事情に明るい書評家でメールマガジン「ビジネスブックマラソン」編集長の土井英司さん(38)を訪ねた。土井さんによると、ここ数年、日本で1年間に出版される経済・ビジネス書の新刊は五千前後で全体の1割に満たない。「その中で、経済や経済学の入門書は新刊点数、販売部数の両面で健闘しています」。書籍の総販売部数が減少傾向にある中で、10万部以上、売れる入門書も多い。新刊のほとんどが経済入門書という出版社もある。

■若手社員が勉強し直す

 「入学シーズンだから大学生が買っているのかな」。全国大学生活協同組合連合会に質問すると、真田隆裕さん(54)が残念そうに首を横に振った。「勉強になりそうな本を自分で探し出して読む学生はあまりいません」。同連合会の調査によると、昨年の大学生の一日平均の読書時間は31分で、「ゼロ」が34.5%。1985年調査では平均時間は調べていないが、「ゼロ」は19.4%だった。

 「就職活動が忙しくて本を読む時間がないという声をよく聞きます。本も含めて、なるべくモノを買わずにお金を節約する人も多いようです」と真田さん。

 「誰が買うのだろう」。紀伊国屋書店大手町ビル店(東京都千代田区)に足を運んだ。店長の今泉泰司さん(44)は「ビジネスの中心街なのでビジネスパーソンが入門書を購入していきます」と教えてくれた。経済学の基本をマンガ仕立てで紹介する「この世で一番おもしろいミクロ経済学」などがよく売れている。

 「経済のグローバル化が進み、変化が激しい世の中の動きを理解するのに、経済学の知識が必要だと考える人が増えているのでは」。ダイヤモンド社・書籍編集局長の今泉憲志さん(49)が顔を出した。「就活に追われる生活が終わり、社会人になった若年層などが経済や経済学を勉強し直しているのでしょう。専門家にしっかりした本を書いてもらっています」

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