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エコノ探偵団

花粉症、景気にどう影響 能率3割低下の調査も

2013/4/16 日本経済新聞 プラスワン

柳川さんによると解決方法は二つ。一つは公害物質を減らすと政府が補助金を出すか、公害物質に税金をかける方法。もう一つは当事者間で交渉する方法という。「ただ、花粉は被害が広く薄いので損失が特定しにくいうえ、一般の公害や薬害のように被害者が集まってスギ林の持ち主に『お金をだすから切ってください』と交渉するのは難しい」。それで対策が進みにくい面があるという。

事務所に戻ると所長が古い空気清浄機をにらんでいた。明日香が事情を聞くと「最近こいつが空気をきれいにしているのか汚しているのか分からないんだ」。

<戦後植えたスギが「適齢期」に 花粉症の被害増加>

花粉症の被害が拡大傾向にあるのはなぜだろう。

石原慎太郎・前東京都知事は、2003年にトラックなどディーゼル車が出す粒子状物質(PM)を規制した。花粉症を引き起こす原因ではないかと疑われたことがPM規制の根拠の一つだった。ただ、その後も花粉症は減っておらず、今のところ増加との因果関係を示す決定的な証拠は見つかっていない。

有力とされるのは、花粉が飛ぶ量自体が増えているためとする説だ。スギが大量の花粉を飛ばし始めるのは植林から30年以上たってから。戦後、復興需要で伐採が進んだ時期に植えられたスギが「適齢期」を迎えているようだ。

輸入材の増加や木造住宅の減少で、木材価格が下がり伐採が進まなくなったことも影響している。無花粉の品種への植え替えは始まったばかりで、木を間引く作業にもお金をかけにくくなっている。

薬剤などを使い、スギに花粉を出させない技術も研究されているが、環境への影響を評価するには時間がかかり、すぐには実用化されそうにない。花粉症との戦いはしばらく続きそうだ。

(松林薫)

[日経プラスワン2013年4月13日付]

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