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エコノ探偵団

花粉症、景気にどう影響 能率3割低下の調査も

2013/4/16 日本経済新聞 プラスワン

事務所に寄ったマスク姿の会社員が「今年は花粉が多くて」とぼやいた。「花粉症に悩む人は多いし、大気汚染物質のPM2.5(微小粒子状物質)も気になるし、景気への影響を知りたい」という。探偵、深津明日香が調査に乗り出した。

■消費押し上げる場合も

明日香は花粉と消費の関係に詳しい第一生命経済研究所主席エコノミストの永浜利広さん(41)を訪ねた。「花粉がたくさん飛ぶと消費を押し下げますよ」。永浜さんは、数字を書いた紙を差し出した。

花粉症の人が外出を控えれば、観光や外食産業が打撃を受ける。「花粉の飛ぶ量は、前年の日照時間に影響されます。そこで7~9月の日照時間と翌年1~3月の消費の関係を調べてみました」。1994~2011年のデータを基に試算すると、今年は消費を2332億円、押し下げる見通しだという。

「すごい額」。明日香が驚くと、永浜さんは「ただし今年は株価上昇で消費を増やす人がいるので、全体の消費は伸びるでしょう」と付け加えた。

三井住友アセットマネジメントのチーフエコノミスト、宅森昭吉さんにも聞くと、「花粉が大量に飛んだ年は3月の消費が前年と比べ減っています」と指摘した。宅森さんは東京都大田区で観測されたスギ・ヒノキの花粉飛散数をもとに、1985~2012年を花粉が多かった順に並べた。「最多の05年など上位6位までの年で消費が前年比マイナスでした」という。

ただ、花粉の飛散数が平均に近かった9~14位では6年中、5年がプラス。「マスクや薬を買う分、支出は増えます。“ほどほど”に飛ぶと消費にプラスなのかもしれません」という。花粉対策の出費は個人には損失だが、ドラッグストアなどには売り上げ増になるからだ。「景気に好影響を与える可能性もあるのですね」。明日香はうなずいた。

「最近、騒がれているPM2.5はどうかしら」。中国で発生した大気汚染物質のPM2.5は、風に乗って日本に飛んでくる。りそな総合研究所大阪本社の主席研究員、荒木秀之さん(38)は「今のところ影響を示すデータはありませんが」と前置きしながら、「大気汚染が深刻になり、外出を控えたり、旅行が減ったりすれば影響が出るでしょう」と説明した。

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