大切なことは不安の連鎖に入る前に医師に相談すること。とくに男性の下痢の場合、ラモセトロン塩酸塩(商品名はイリボー錠)という医薬品の登場により、治療の選択肢が増えた。鳥居院長は「この医薬品は、腸内で分泌されたセロトニンの働きを妨げ、便意の切迫感など日常生活に支障をもたらす症状を改善する。最近では、病気の比較的初期からこの医薬品を使うことで重症化を防ぐ治療が普及してきた」と話す。

下痢で困っていると感じたら、生活改善にも取り組もう。例えば、毎朝トイレですっきりすることで仕事中の便意は軽減できる。毎朝、定時に起きて、しっかり朝食をとることで腸のリズムも整う。

■大病の症状かも

下痢の背景に大きな病気が隠れていることもあるので注意したい。鳥居院長は「大腸がんや潰瘍性大腸炎の症状として慢性の下痢を訴えることもある」と話す。どんなときに医者にかかればいいのか。主なポイントを図表に挙げた。見落としがちなサインは体重の減少だ。「腸の役割は食べ物を消化吸収し、体づくりをすること。その機能が失われているとすれば消化器の専門家による治療が必要となる」(鳥居院長)

また清水教授は「乳児が頻繁に下痢を起こす場合、体重が思うように増えず、心身の発達障害につながることもある。3歳以下の乳幼児の場合は食物アレルギーが原因の場合がある。早めに小児科医に相談してほしい」と注意を促す。

便の性状には個人差があるため「自分は下痢体質だ」と思い込みがち。腹痛などの症状がなくても一度は消化器の専門家に相談し、定期的に体重を測るといった健康管理が必要だ。

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水分補給はこまめに

激しい下痢のときは、まずは安静にして消化のよい温かい食べ物を食べる。トウガラシやコーヒーなどの刺激物は控えた方がよい。

大切なのは下痢によって失われた水分を補給し脱水症を予防すること。薬局で売られている「経口補水液」は適度な塩類と糖質を含み補水効果が高い。市販のスポーツ飲料は糖質が多すぎることがあり、必要に応じて薄めて飲むとよい。

清水教授は「特に小さい子どもは脱水症を起こしやすい。肌や口が渇いていないか親がしっかり確認すること。水を飲むのをいやがることもあるが、少しずつ小まめに飲ませてほしい」とアドバイスする。

(ライター 荒川 直樹)

[日経プラスワン2013年4月6日付]

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