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エコノ探偵団

官製「クール・ジャパン」稼げるの?

2013/3/26 日本経済新聞 プラスワン

 「政府が『クール・ジャパンを日本の新たな収益源にしよう』と呼びかけているけどうまくいくかしら」。女子学生の疑問に探偵、松田章司が立ち上がった。「その言葉は聞いたことがあるけれど詳しく知らないな。よし、調べてみよう」

■国内頼み、海外戦略は後手

 最初の訪問先は、アニメやゲームなどのコンテンツ産業に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の白藤薫さん(50)。「クール・ジャパンは、かっこいい日本と翻訳されます。海外で日本製のアニメやマンガの人気が高まり、クール・ジャパンという言葉が普及しました」。家電や自動車などの輸出産業に陰りが見られる中、コンテンツ産業に期待する声は多いが「人気の割には日本企業にあまり利益をもたらしていません」。

 種類別に輸出入額を比べると、輸出が輸入を上回る「黒字」はゲームだけで、映画、音楽、書籍などは軒並み輸入超過。「規模が大きい国内市場で稼げるので海外でもうける発想が乏しかったのでしょう。政府はコンテンツ、ファッション、『食』などの文化産業を海外でも稼げる産業に育てたいのです」

 民主党政権時の政府の推計によると、日本以外の世界の文化産業の市場規模は2011年時点で約530兆円で、20年には900兆円超に拡大する見込み。11年の食を除く日本勢の売り上げは約2兆円で、20年までに8兆~11兆円を獲得する目標を掲げていた。

 安倍晋三内閣は6月をめどにまとめる「成長戦略」に改めて「クール・ジャパン」戦略を盛り込む模様。

 次に、ゲームソフトなどを企画・開発するエンジンズ(大阪市)取締役プロデューサーの足立靖さん(47)を訪ねた。同社はゲームソフトを活用して全国各地の食文化の魅力を伝え合う「ベジスタ」と呼ぶイベントを手がけている。海外も意識する足立さんは2月、シンガポールの子供たちに沖縄料理を紹介した。「海賊版などの問題があり、中小企業が単独で海外進出するのは難しいです」

■政府主導には賛否両論

 「政府の取り組みを説明してもらおう」。次に東京・霞が関の経済産業省に向かった。「海外各地で日本文化を紹介するイベントや商談会を開いたり、共同製作の推進などを目的に外国政府と協力協定を結んだりしています。日本企業の海外展開の呼び水にする狙いがあります」とクリエイティブ産業課長の岸本道弘さん(46)。海外で日本ブームを起こし、商品・サービスを販売して利益を上げるのが目標。「本場を見たい」と日本を訪れる観光客を増やす効果にも期待する。

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