脳卒中治療 内科と外科が連携、迅速に対応日経実力病院調査2012

2013/3/22

日経実力病院調査

脳卒中は発症から治療開始までの時間を短縮することが救命率の向上や後遺症の軽減につながる。日本経済新聞社の実力病院調査で症例数が多い病院は、内科と外科の連携によって治療方針を速やかに選んだり、高機能の手術室を備えるなどして受け入れ体制を整えたりしていた。リハビリテーションでは地域医療との役割分担が重要になっている。

脳卒中患者の約4分の3を占める脳梗塞。今回の調査で「手術なし」が1020例と2番目に多かった国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の豊田一則・脳血管内科部長によると、発症直後で合併症の恐れが小さいなど条件を満たせば、血栓を溶かす血栓溶解剤「tPA」を投与する。

条件を満たさないか、投与後も十分な効果を得られない場合は、カテーテルで脳まで通した極細の器具を使い、血栓を絡め取る血管内治療をする。同センターの場合、急性期の血管内治療は必ず内科と外科が合同で実施。その後は2週間ごとに合同カンファレンスを開き、病状や治療方針を確認しているという。

脳梗塞のうち、心房細動(不整脈の一種)が原因で起きたケースの再発予防には血を固まりにくくする抗凝固薬を処方する。抗凝固薬は2011年以降、「ダビガトラン」など新薬が相次ぎ承認された。従来の薬よりも効き目が安定しているとされる。

脳出血には降圧剤や脳の腫れを防ぐ薬を使い、血腫が大きな例では手術を要することがある。くも膜下出血は動脈瘤(りゅう)が脳内で再破裂するのを防ぐため、動脈瘤の根元をクリップで挟む「クリッピング」と呼ばれる手術か、瘤の内部をふさぐコイル塞栓術を施すのが一般的だ。

急性期の治療を終えた患者は投薬と生活習慣の改善で再発予防を目指す。高血圧や糖尿病、肥満には食事療法や適度な運動のほか、禁煙を指導。飲酒量はほどほどに控えさせる。

同センターでは毎朝、約40人いる脳血管・脳神経内科の医師全員で、前日に入院した脳卒中患者の情報を共有するカンファレンスを実施。さらに医師と看護師、リハビリ担当者らが週1回、治療計画や転院の時期などを検討している。

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