ライフコラム

エコノ探偵団

インフレになると生活変わる?

2013/3/19 日本経済新聞 プラスワン

「日銀の次期総裁がインフレを起こすと言ってますね」。近所の主婦が事務所を訪ねてきた。「モノの値段が上がるんでしょ」と不安そうだ。「生活にどんな影響が出るか調べた方が良さそうですね」。探偵、深津明日香が調査を買って出た。

■預金や年金は目減り

「モノやサービスの価格が上がり続けるのをインフレ、逆に下がるのがデフレね」。最新の1月の消費者物価指数は、値動きが激しい生鮮食品を除くと前年同月比0.2%下落。マイナスは3カ月連続だった。

「ずっとデフレだからインフレのイメージがわかないわ」。明日香が総務省の物価統計室長、栗原直樹さん(43)を訪ねると「物価上昇率が高かったのは2度の石油危機とバブル期、消費税を導入・引き上げた年です」とグラフを出した。

「何が値上がりしたのですか」。明日香が聞くと「共通するのはガソリン・灯油です」と栗原さん。原油高騰は輸送費などを押し上げるので幅広く影響が残る。例えば第1次石油危機(1973年)の翌年は、生鮮野菜が34%、家事用消耗品が42%も上がった。

「すべて同じように上がるわけではないのですね」。明日香が興味を示すと「野菜は天候要因が大きいし、賃金が伸びた時期はサービス料金が上がりました」と栗原さんはうなずいた。出費が増えた分、買い控えで需要が減り、値下がりするモノやサービスもある。

「なぜ政府はインフレにしようとするのかしら」。20日に日銀総裁に就任予定の黒田東彦・前アジア開発銀行(ADB)総裁は「2%の物価上昇率目標を達成する」と表明。外貨を取引する市場では、日銀が大量のお金を供給するとの思惑から急速に円安が進んだ。「輸入に頼るガソリンや穀物は値上げのニュースが増えたけど、全然うれしくないわ」。明日香は第一生命経済研究所の永浜利広さん(41)に疑問をぶつけた。

「確かに短期的に負担が増える人は出ますが、景気にはプラスなのです」と永浜さん。人々が物価が上がると考えるようになれば、買い控えがなくなり消費が増える。「円安も、輸出企業や輸入品と競合する国内向け製品のメーカーは業績が上向く。それで賃金が上がれば経済全体に恩恵が広がります」と説明した。

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