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福島・いわき市 殖産興業支えた常磐炭田 工場や鉄道 数々の遺構

2013/3/16 日本経済新聞 夕刊

福島、茨城両県の太平洋沿岸部はかつて国内有数の石炭産出地だった。明治以降の日本の近代化を支えた常磐炭田だ。今年は福島県側で初めて石炭を発見した片寄平蔵の生誕200年。炭田地帯の中心に位置する同県いわき市を訪ね、当時の姿を今に伝える炭鉱の遺構を巡った。

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常磐炭田で最新・最大の設備を誇った内郷鉱中央選炭工場

「まず予習を」と向かったのが、JR湯本駅から徒歩10分の「いわき市石炭・化石館」。炭鉱で働く鉱員や資材を地下深くの坑内に運んだ立て坑やぐらの赤い鉄骨が目印だ。館内には坑内の様子を再現した模擬坑道があり、手掘りから発破、機械採炭に至る技術の変遷をたどれる。屋外には採炭機械や坑内を走った機関車、炭鉱の坑口と人員を坑内に運んだトロッコなどが保存・展示されている。

常磐炭田は福島県富岡町から茨城県日立市北部まで南北約95キロ、幅5~25キロに及んだ。最盛期には130以上の炭鉱があり、年間産炭量は全国の1割の420万トンを誇った。だが1960年代以降、石油へのエネルギー転換に伴い閉山が相次ぐ。1976年の常磐炭鉱西部鉱業所の閉山で福島県側の炭鉱の歴史は平蔵の石炭発見から120年の幕を閉じた。

予備知識を得たら、いよいよ現地だ。ただ炭鉱の遺構の多くは観光用に整備されておらず、管理者の許可がないと入れない場所もある。そこで市内の産業遺産の普及・紹介活動をしている「いわきヘリテージ・ツーリズム協議会」の熊沢幹夫事務局長(69)に案内をお願いした。

市指定文化財約200点などを展示する「みろく沢炭鉱資料館」

最初に訪ねたのは内郷地区の「みろく沢炭鉱資料館」。元鉱員の渡辺為雄さん(86)が自宅敷地に開設した私設資料館だ。ツルハシやカンテラ、ヘルメットなどの用具類や鉱員募集のポスターなどを展示し、約200点が市指定文化財になっている。

平蔵が1856年(一説では55年)に石炭層の露頭を発見した場所に近く、渡辺さんは「石炭発見地を訪れる人をがっかりさせないよう、資料を集めて展示したいと思った」と資料館開設の動機を語る。年中無休で見学自由。団体やグループ客には、渡辺さん自ら、鉱員体験を交えてユーモアあふれる解説をしてくれることもある。

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