座る姿勢も原因に 胸やけを改善する生活法

私たちにとって身近な症状の一つである胸やけ。その原因となる逆流性食道炎の患者が増えているという。症状を改善する新薬が次々と登場しているが、専門家は薬に頼るだけではなく、生活改善が重要とアドバイスする。

酒を飲み過ぎた翌朝、おなかいっぱい昼ごはんを食べた午後、ストレスを感じたとき、みぞおちからノドにかけて感じる焼けるような刺激。この胸やけの病名が逆流性食道炎だ。

食生活の変化影響

その名のとおり、胃酸や消化酵素を含んだ胃の内容物が食道に逆流することによって、食道粘膜に炎症などが起こる病気だ。

杏林大学医学部の高橋信一教授は「食道と胃との間には食道下部括約筋という、弁やバルブの役割をする筋肉があるが、この筋肉は肛門の括約筋などよりずっと力が弱い」と話す。前かがみの姿勢を続けたり、食事やストレスで胃酸の分泌が増えたりすると、胃酸が食道に漏れて胸やけが起きる。

この逆流性食道炎の患者が日本では増え続けているという。これまで発表された約30件の臨床報告によると、特に1990年以降に急増していることが分かった。その理由を島根大学医学部の木下芳一教授は、日本人の胃液の分泌量が増加したためと指摘する。木下教授は「原因の一つは日本人の食生活が欧米化し、肉類や脂肪類の摂取が増えたこと。これらを消化するため胃液がたくさん分泌されるようになった」と話す。

島根大学では内視鏡検査を受けた人の中に逆流性食道炎が見つかった割合を調査している。それによると、87~89年は2.4%だったのに対して、2003~05年は9.4%と4倍近くになった。

逆流性食道炎の治療は薬物治療が中心だ。最近はプロトンポンプ阻害剤と呼ばれる胃液の分泌を抑制するタイプの医薬品に新薬が相次いで登場している。その効果は高く、木下教授は「患者の8割はプロトンポンプ阻害剤の服用で症状が改善される」と話す。

ただし、ずっと薬に頼り続けるわけにはいかない。高橋教授は「胃液は口から入った病原菌を死滅させるなど、消化以外にも重要な役割を果たしている。まずはプロトンポンプ阻害剤で症状を改善させて、食道や胃の粘膜を正常に戻す。患者さんに生活改善に取り組んでもらい、最終的に薬を飲まないようにすることを目指している」と話す。

次のページ
ピロリ菌対策も要検討