■検査体制整備へ

厚生労働省はSFTSを日本脳炎や狂犬病などと同じ「4類感染症」に指定。都道府県に感染の疑いがある例を報告するよう求めた。また、地方の衛生研究所でもウイルス感染の有無を検査できる体制を今月中をめどに整える方針。国内各地でマダニの調査も今後始まる予定だ。

ダニのウイルス保有率や地域分布などが分かれば、対策を取りやすくなる。現在は対症療法しかないが、予防ワクチンなどの開発につながる可能性もある。

一般の人はどうすればよいのか。最も大切なのはマダニにかまれる危険性を減らすことだ。マダニは北海道以南の森林や草地などに広く生息し、春から秋にかけて活動する。仕事やアウトドア活動などをする際は、長袖・長ズボンなど地肌が隠れる服装を心がける。嘉糠教授は「白やパステルカラーの服を着れば、ダニが付いた際に発見しやすい」と語る。虫よけスプレーなどの効果は過信しないほうがよいという。

ダニはSFTSのほか、日本紅斑熱やライム病、ツツガムシ病などの感染源にもなる。細菌性の病気は基本的に抗菌剤などで治療できるが、感染しないにこしたことはない。ダニ対策をしっかりとることが感染症予防につながる。

ダニが服に付いた場合、自宅に持ち込んでしまうこともある。このため、帰宅したら着替えたり、シャワーを浴びたりしよう。自分では見えない背中などは家族に見てもらうのもよい。

ダニは痛みを和らげる効果の物質を出しながらかむため、痛みを感じにくい。かんだ部分をがっちりと固めて1週間ほど血を吸い続けて小豆大になることもある。「おばあちゃんのおしりに新しいほくろができている」と孫に言われてダニにかまれていたと気付いた人もいるという。

もしかまれてしまったら、自分で無理に取るのは避けよう。ダニの一部が皮膚に残り、炎症が起こる可能性もあるためだ。できるだけ早く医療機関を訪れ、取り除いてもらう。SFTSの解明はこれからだが、「過度に恐れる必要はないが、正しい知識を持ち感染リスクを下げるよう心がけてほしい」と専門家は口をそろえている。

(鴻知佳子)

[日本経済新聞夕刊2013年3月8日付]

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント