SF JACK 日本SF作家クラブ編作家12名の書き下ろし競作集

2013/3/7
(角川書店・1800円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

50年前の1963年3月5日。新宿の台湾料理店に集まった小松左京、星新一らが日本SF作家クラブを結成した。

 以後、このクラブは作家同士の親睦を深めつつ、独創的な想像力を生み出す、日本のサブカルチュアの貴重な発信源となってきた。

 本書は創立50周年の記念企画。クラブの作家12名による書き下ろし競作集である。

 全人類が第六感を持ってしまった未来。能力を欠損した主人公が医療措置にて能力を回復するも、覚醒後の世界像の変化には思わぬ落とし穴があった……新井素子描く、ユーモラスな「あの懐かしい蝉の声は」ほか、非暴力を掲げる植民地惑星における暴力の萌芽(ほうが)を皮肉に綴(つづ)った小林泰三「草食の楽園」、お屋敷に取り憑(つ)いた怨念を祓(はら)うヒーローの活躍を、夢枕獏節いっぱいに描いた「陰態の家」など、各人お得意のテーマが、魔法のような語り技で披露される。

 全体を通読すると、現実世界と異世界双方の世界観や価値観のダイナミックなぶつかり合いが、共通テーマとして浮かび上がる仕掛け。ハイジャックならぬSFジャックされる楽しさに、心が踊った。

★★★★

(ファンタジー評論家 小谷真理)

[日本経済新聞夕刊2013年3月6日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

SF JACK

著者:新井 素子, 上田 早夕里, 冲方 丁, 今野 敏, 堀 晃, 山田 正紀, 夢枕 獏, 吉川 良太郎, 山本 弘, 宮部 みゆき, 瀬名 秀明, 小林 泰三.
出版:角川書店(角川グループパブリッシング)
価格:1,890円(税込み)

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