「最も影響が大きいのはストレス」(廣川名誉教授)だ。人間の体はストレスを受けると、ある種のホルモンを出して耐えようとする。ところが、このホルモンは免疫の働きを低下させる。健康によいことでも、ストレスをためると逆効果になる。

それを端的に示すフィンランドの調査がある。血圧やコレステロール値が高かった40代の男性約1200人を半分に分け、1974年から15年間追跡した。片方は最初の5年間はまじめに健康管理し、喫煙や飲酒、塩分、糖分の摂取を控え、定期的に健康診断を受けた。もう一方は何もしないまま過ごした。

まじめに健康管理したグループの方が血圧などは改善したものの、なぜか15年間の死亡者総数では多かった。「健康的とはいえ、窮屈な生活がストレスになり、免疫力を下げた可能性がある」と順天堂大学の奥村康・名誉教授はみる。最初の5年間とはいえ、ストレスによるダメージは大きいようだ。

■笑ってうまく発散

「体を少し動かす程度でも、免疫は活性化される。ちんたらと感じるくらいのお手軽な運動がおすすめ」と奥村名誉教授はいう。実は、過酷なトレーニングをこなすアスリートたちは風邪をひきやすいという。激しい運動は体にとってストレスになるからだと考えられている。

ストレスを解消するには、趣味を楽しむなど人それぞれに方法があるだろう。てっとり早いのが笑うこと。米国の研究によると、喜劇を見て声を出して笑うと免疫力が高まったという。日本でもよく笑う人は免疫細胞の働きが高いという報告がある。詳しい仕組みなどは不明だが、日々笑っても損はなさそうだ。

日々のストレスを避けられたらよいが、そんな生活を送るのは難しい。責任感が強く自分自身を追い込むまじめなよい人は長生きできない傾向にあるという。免疫力を保つには、能天気で少しずぶといくらいがよさそうだ。

(鴻知佳子)

ひとくちガイド
インターネット
◆免疫力判定法の詳細や受けられる医療機関を探すには
 廣川名誉教授が設立した健康ライフサイエンス(東京・千代田)のホームページ(http://www.h-ls.jp/)
書籍
◆免疫と健康についてもっと知るなら
 「免疫力アップがすべてのポイント!“健康常識”はウソだらけ」(奥村康著、ワック)

[日本経済新聞朝刊2013年2月17日付]

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