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急性膵炎、飲み過ぎが引き金 数時間~翌日の発症多く 激しい腹痛、重症なら死亡も

2013/2/16 日本経済新聞 夕刊

そろそろ春の人事異動の季節がやってくる。サラリーマンは送別会や歓迎会で酒を飲む機会が増えそうだが、気をつけたいのがアルコールの過剰摂取だ。大量に飲酒した翌日などに、激しい痛みを伴う急性膵(すい)炎を起こす恐れがある。重症化した場合、死に至るケースもあり注意が必要だ。

都内に住む50代男性のAさんは酒好きで、酒を伴う宴会や食事を連日のように続けていた。約1年前、会社の同僚と酒を飲み過ぎた夜、これまでにないような激しい腹痛にいきなり襲われた。胃の痛みかと思い、どうにか朝まで我慢したが背中も痛い。会社を休み近くの病院に駆け込んだら急性膵炎と診断され、そのまま入院した。

膵臓は胃の裏側にある長さ15センチメートルほどの小さな臓器で、背中に近い場所にある。血糖を調整するインスリンをつくるほか、消化酵素を含む膵液を分泌し、たんぱく質や脂肪を分解する役割も担っている。膵液は「膵管」を通じて十二指腸に流れ、食物の消化や吸収を助けている。

■膵液が内部溶かす

食物の消化を促す膵液は本来、膵臓を傷つけることはない。ところが「様々な理由で、膵液の流れが悪くなるとドロドロの状態になる。膵臓内にとどまって膵臓を溶かし炎症が起きる。これが急性の膵炎だ」と九州大学病態制御内科の伊藤鉄英准教授は指摘する。

最大の原因はアルコールの過剰摂取だ。男性では約4割を占める。アルコールを大量にとると、膵液の分泌が活発化するという。大量摂取の目安は1日60グラム以上で、ビールに換算すると中瓶3本、日本酒なら3合程度だ。

また、日ごろのストレス解消のために酒を飲む人も多いが、伊藤准教授は「アルコールとストレスなどが重なると膵炎を起こしやすくなる」と注意を促す。

胆石症も急性膵炎を引き起こす原因の一つだ。胆石は脂肪の消化を促す胆汁の成分が固まってできる。胆管と膵管は十二指腸乳頭部という共通の出口を持っており、ここに胆石がつまって胆汁や膵液をせき止めることで急性膵炎になる。このほか、原因不明のケースも多い。

急性膵炎の初期症状は腹痛が多く、全体の約9割を占める。最初の段階にはみぞおちあたりに軽い痛みを感じるが、徐々に痛みがひどくなり、病院に駆け込むことになる。

腹痛はアルコールを大量摂取した数時間後から翌日までに起きやすい。夜中に激しい痛みを感じ、朝まで我慢するという患者が目立つ。痛みは数時間続き、背中に及ぶこともある。背中を丸め、膝を抱えて横になる姿勢をとるケースが多いという。

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