■ストレスにも注意

吐き気を催すことも多いが、吐いても楽になることはない。また高齢者などでは、腹痛の初期症状がなく、気がついたら重症化していたという例もみられる。ただ「腹痛のひどさと急性膵炎の重症度は直接関係しない」(伊藤准教授)。

こうした症状が表れたら、すぐ消化器内科などを受診することが大切だ。大半の患者は胃の痛みを訴えるが、医師は症状から急性膵炎の疑いがあれば、血液などを採取してリパーゼやアミラーゼなど消化酵素を測るのが一般的だ。

一部が壊死(えし)している重症膵炎の画像(楕円で囲んだ部分)=九大提供
正常な人の膵臓(楕円で囲んだ部分)=九大提供

量が増えていれば膵炎の可能性が強まり、コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)などを使い、膵臓の画像を調べる。異常が見つかり急性膵炎と診断されれば、ただちに入院となる。

治療ではまず絶食して安静にする。食事をすると膵液が出て膵臓の炎症が悪化してしまうためだ。帝京大学医学部の天野穂高准教授は「アルコールなどで酷使した膵臓を休ませるのが大事だ」と話す。

脱水や栄養不足を防ぐため点滴を受けながら、消化酵素の活性化を抑えるたんぱく分解酵素阻害剤や鎮痛剤なども投与する。軽症なら1~2週間で改善する。胆石が原因の場合は手術で取り除く。

急性膵炎が重症化した場合、肝臓や腎臓など他の臓器にも炎症や障害が起きて、集中治療室(ICU)での全身管理が必要になることもある。ただ重症患者の1割弱が死亡する。天野准教授は「早く気付いて緊急治療することが重要だ。違和感があれば膵炎を疑ったほうがいい」と訴える。重症患者は医療費の公費負担の対象だ。

膵臓は一度傷つくと弱くなるため、再発の可能性がある。このため治療後は生活習慣を見直すことが大切だ。節酒し、できれば酒を断つ。脂肪分の多い食事も控え、バランスの良い食生活を心がけよう。過度のストレスもなるべく避けるようにしよう。膵炎の怖さを知って、手遅れになる前に対処したい。

(山本優)

[日本経済新聞夕刊2013年2月15日付]