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大人の食物アレルギー増加 突然発症、治療手探り 乳幼児と異なる原因

2013/2/15 日本経済新聞 夕刊

 特定の食べ物が原因で皮膚や呼吸器などにアレルギー反応が出る「食物アレルギー」を成人になってから発症する人が増えている。原因となる食品の傾向は乳幼児と異なり、野菜や果物が多い。発症の詳しいメカニズムは解明されておらず、治療法は確立していないが、患者の体質に応じて症状を改善する動きが大規模病院を中心に始まっている。

 東京都杉並区に住む会社員の女性(33)は27歳の時に突然、食物アレルギーを発症した。リンゴや桃、ナッツ類を少しでも食べると呼吸が苦しくなる。「洋菓子などはアーモンドパウダーを使っていることが多く、控えざるを得ない」という。

■花粉の季節要注意

 専門医を受診し、症状を引き起こす食品は特定できたものの、発症の詳しい原因は分からないまま。「今後、別の食べ物にも反応してしまうのではないかと考えると怖い」。スギ花粉の飛散が多くなる2~3月はアレルギー反応が激しくなることが多く、2~3週間に1回通院し、症状を抑えるための薬を処方してもらっている。

 食物アレルギーは、身体が食べ物に含まれるたんぱく質を異物と認識し、防御のために過剰な反応を示すことで起きる。

「食物アレルギー研究会」には、前年を大きく上回る400人超の医療関係者などが参加した(1月下旬、東京都品川区)

 厚生労働省は「表れる症状によって、皮膚疾患や呼吸器障害などに分類されており、患者数の統計は取りにくい」としているが、専門医の多くは「生活環境の変化に伴い、乳幼児とともに、大人の患者が増えているのは間違いない」とみる。

 公益財団法人日本アレルギー協会(東京・千代田)の宮本昭正理事長は10年ほど前から成人の患者が急増し、20代では1%程度の人が症状をもっているとしたうえで、「成人患者の10人に1人は原因となる食べ物を口にすると、ショック症状などの重篤な症状を引き起こしている」と指摘する。

 乳幼児と成人の食物アレルギーは原因となる食べ物の傾向が大きく異なる。

 厚労省研究班が2011年にまとめた「診療の手引き」によると、乳幼児を中心とした2478人に対する調査では、鶏卵が38.7%で最も多く、牛乳(20.9%)、小麦(12.1%)などが上位を占めた。

■果物・野菜が最多

 これに対し、国立病院機構相模原病院(相模原市)が実施した09~11年の患者調査(対象153人)によると、成人はリンゴや桃、梨などの果物・野菜が48.4%で最多。以下は小麦(15.7%)、エビやカニなどの甲殻類(7.2%)と続いた。ただ、発症の詳しいメカニズムが解明されておらず、なぜ果物や野菜が成人に多いのかは分かっていない。

 幼児の場合、消化機能の発達とともにアレルギー反応が減ることが多い。また、専門医らでつくる食物アレルギー研究会会長の近藤直実・岐阜大大学院教授によると、原因となる食べ物を少しずつ摂取することで体の免疫を慣らす「経口減感作療法」は牛乳などには有効だが、ナッツ類や魚介類には効果が小さい。

 成人患者の治療は難しいとされ、近藤教授は「原因や症状、治療後の反応は一人ひとり異なる。体質や特徴を把握したうえで治療を進め、生活上のアドバイスをする必要がある」と指摘する。

 大規模病院ではこうした対応が始まりつつある。

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