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エコノ探偵団

バレンタインチョコ、売れ残りの心配は?

2013/2/12 日本経済新聞 プラスワン

 「そろそろバレンタインデーか」。探偵たちが事務所で雑談していると、所長がつぶやいた。「売り場にチョコレートが並ぶが、14日を過ぎた売れ残りはどうなるんだ」。「消費者の素朴な疑問ですね」。探偵の松田章司が調査に向かった。

■専用商品の比率下げる

にぎわうバレンタインの特設会場(1月26日、東京都豊島区の西武池袋本店)

 まず専用売り場を展開するコンビニや食品スーパー大手に問い合わせてみた。ところが「(対応は)お断りしたい」(大手コンビニ)、「担当者が多忙でお答えできない」(大手スーパーチェーン)と、一様に口は堅かった。

 ならばと章司が訪れたのは、流通やマーケティングを分析する流通経済研究所(東京都千代田区)。店頭研究開発室長の山崎泰弘さん(40)は「売れ残った場合は、値引き販売するなどして店頭で処分するのが基本です」と教えてくれた。

 メッセージカードなどは翌年も使えるが、チョコには賞味期限があるため難しい。「100円ショップやディスカウント店に回ることはないのですか」と章司が疑問をぶつけると「一度店頭に並んだものを送り返すのはコストがかかるので難しいです」と山崎さん。

 バレンタイン関連はチョコの年間販売額の約2割を占めるといわれる。売れ残りは損失になるが、仕入れが少なすぎるのも経営にとっては問題だ。商品が店頭にないばかりに売れるチャンスを逃すことを「機会損失」と呼ぶ。どちらも起きないよう、ニーズを見極めて発注することが重要になる。

 「そういえば、最近はチョコの値引きセールを見なくなった気もする」。次に章司は大手菓子メーカーの明治に向かった。バレンタイン商戦担当の菊池二郎さん(41)は「今は専用商品はほとんどありません。手作りチョコの材料になる板チョコなどレギュラー商品に力を入れています」と教えてくれた。

 1990年代後半ごろまでは、大手各社はチョコの詰め合わせなど専用商品を出荷していた。包装紙や売り場の人員なども店側に提供し、販売を競っていたという。だが過当競争に陥って利益を出しづらくなり、徐々に廃れた。「板チョコなら一年を通じて売れる。賢い戦略ですね」と章司。

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