右と左どっちが上位? 国内外で違うマナーの常識

一方、西洋では、英語で右を「正しい」の意味がある「right」と言うように、日本礼法とは逆に「右を上位、左を下位」とする「右上位」が基本。これが近現代史の流れの中でそのまま国際間の付き合いのルール(国際儀礼=プロトコル)となり、外交などの国際舞台では右上位がマナーとして定着している。

2国間の首脳会談の並び方や主要国首脳会議(サミット)での立ち位置は右上位に基づいて決められており、オリンピックの表彰台で金メダリストを真ん中にしてその右側(向かって見ると左側)に銀メダリスト、左側(同右側)に銅メダリストが並ぶのも、右上位に由来している。

日本では現在、皇室が明治時代に公式行事や御真影で国際儀礼を取り入れたことが一因となって「左上位と右上位の2つのマナーの世界が併存しており、これが右と左の関係をより複雑で分かりにくくしている」(マナーデザイナーの岩下宣子さん)。

典型的なのが、雛(ひな)人形の飾り方だ。京都を中心とする「京雛」は伝統礼法に基づいてお殿様(男雛)を左側(向かって見ると右側)、お姫様(女雛)を右側(同左側)に並べる。一方、全国に普及している「関東雛」は、両陛下の並び方を範として男雛を右側、女雛を左側に並べており、左右が全く逆の2つの飾り方が並立している。

式典や会食で並び方や席順を決める際、会場や部屋のつくり次第で右と左のどちらを上位にすればよいか分からない場合がある。近藤さんと岩下さんは「あまり気に病む必要はない。その場が和やかで皆が気分よく過ごせる方にすればよい」と口をそろえる。うるさ型の人には事前に「今日はプロトコルでやります」とか言っておけば、大抵は納得してくれるという。この一言添える気遣いこそがマナーの極意なのだろう。

(編集委員 中川内克行)

[日経プラスワン2013年2月2日付]

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