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エコノ探偵団

金融緩和で景気良くなるの?

2013/1/29 日本経済新聞 プラスワン

 「日本銀行が金融緩和をさらに進めてお金の量を増やし、2%の物価上昇を目指すそうね。世の中のお金の流れが変わって景気は良くなるのかしら」。事務所に立ち寄った主婦の質問に探偵、松田章司は頭を抱えた。「よし、調べてみよう」

■企業・個人へ融資増めざす

 まず、ニッセイ基礎研究所専務理事の櫨浩一さん(57)を訪ね「金融緩和とは何か」を説明してもらった。「日銀は金融機関を通じて市中に出回るお金の量を調節しています。量を増やして経済活動を活発にしようとするのが金融緩和。融資の基準となる政策金利を下げたり、金融市場に流通している国債などの資産を買い取ったりして、金融機関が企業や個人にお金を貸しやすくします」

 日銀は1999年、政策金利をほぼゼロにする「ゼロ金利政策」を導入した。いったん解除後、2001年に復活させ、06年に再び解除した。08年のリーマン・ショック後、欧米などが金融緩和を加速する中で、日銀は再びゼロ金利に。22日には期限を定めずに国債などを買い入れる新たな緩和策の導入を決めた。

 「お金の量はどれだけ増えてきたのかな」。日銀の公表データを調べると、通貨発行高(お札とコインの合計)は12年3月末で約85兆円。92年3月末は約37兆円、02年3月末は約72兆円と年を追って伸びている。

 「預金の動きにも注意してください」と櫨さんが示したのが、企業や個人などが保有する現金や預金などを合計した通貨供給量(ゆうちょ銀行分などを除く旧マネーサプライ)。「市中に出回ったお金は、預金を通じて再び金融機関に戻ります。通貨供給量に注目すれば、お金の流れをつかめます」。通貨供給量は12年3月末で約809兆円で02年3月末の約662兆円に比べ22%増。過去5年は年2~3%程度の伸びだ。

 「日銀がお金を増やしても経済活動が活発にならないのが問題なのです」と櫨さん。物価が下がるデフレ傾向が続き、経済活動の水準を示す名目国内総生産(GDP)は11年度が473兆円と01年度の501兆円より減っている。

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