冷え・肩こりの原因にも 硬い体の解きほぐし方「イタ気持ちいい」程度を目安に

パソコンと長時間向き合うなど、同じ姿勢をとり続けることが多い現代人は体が硬くなりやすい。運動不足や加齢も重なり、コチコチになった体を放置していると、疲れがたまりやすくなるなどの弊害も出てくる。体を解きほぐすために心がけておきたいポイントを専門家に聞いた。

「ネコが時々、大きく体を伸ばし、ハトが羽を広げるように、人間も普段、縮こまりがちな体を伸ばしておくことがとても大事」。法政大学の伊藤マモル教授(スポーツ医学)は話す。

様々な不調おこす

筋肉は使わないと硬くなる。動物がじっとしていて硬くなった筋肉を大きな伸びでほぐすように、体の柔らかさを保つためには本来、適度に動くことが望ましい。だが現代人は仕事でイスに座り続けるなど、筋肉が硬化する暮らしにどっぷりつかっている。

筋肉だけでなく、関節も十分に動かしていないと硬くなりやすい。関節の回りのコラーゲン線維が、結合して固まりやすくなるためだ。さらに筋肉も関節も加齢によって硬さを増すので、中高年になって様々な支障をきたす恐れがある。

「筋肉が硬くなると血管が圧迫されて血流が悪化する」と伊藤教授は話す。疲労物質がたまりやすくなり、冷えや肩こり、腰痛なども起こりやすくなる。深刻な場合は、血管の硬化などによって脳卒中や心筋梗塞を引き起こすリスクも高まる。

筋肉が硬化すると肉離れなどのけがもしやすい。関節に負担がかかり、炎症などの恐れもでてくる。

では、体を柔らかく保つためには日ごろ、どんなことを心がけたらよいだろうか。最も大切なのは、体のコア(中心)になっている胴体部分を、特に念入りにストレッチすることだ。

胴体は(1)体幹(首から背骨、骨盤まで縦に続く部分)(2)肩甲骨(腕のつけ根の部分)(3)股関節(足のつけ根の部分)の3つが軸。東京大学の石井直方教授(身体運動科学)は「このコアの部分が全身運動の起点になる。しなやかに維持しておかないと、年をとってからスムーズに動けない」と指摘する。

コアの部分は筋肉が複雑に入り組んでいて、手足に比べて硬くなっているかどうか分かりづらい。このため太ももの裏側の筋肉を伸ばすなど、どうしても効果を実感しやすい手足のストレッチに関心が向きがちだが、全身の柔らかさを保つには「意識的にコアを中心に伸ばすのが望ましい」(石井教授)という。

コアのストレッチでは、柔らかくほぐしたい部分だけを集中して動かし、ほかの部分は動かさないことが大事だ。

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