体重同じなのに疾病リスク上昇 サルコペニア肥満に注意70代の3割が該当

少し小太りなくらいなのに実は肥満。「サルコペニア肥満」と呼ぶ新しいタイプの肥満が高齢者で目立ち始めた。老化で筋肉が衰えたところに脂肪が蓄積する。糖尿病や高血圧などの生活習慣病になりやすくなるほか、寝たきりの原因にもなる。筋力トレーニングを中心に早めの対策が必要だ。
健康な70代女性の太もも(左)に比べ、皮下や筋肉に脂肪(白い部分)が目立つサルコペニア肥満の女性(筑波大・久野教授提供のMRI画像)

身長も体重もほぼ同じの70代女性の太ももを磁気共鳴画像装置(MRI)で撮るとよくわかる。健康な人は真ん中の丸い部分の大腿骨のまわりに黒い筋肉が覆っている。外側の縁を覆う白い部分が皮下脂肪だ。サルコペニア肥満の人の太ももは黒い筋肉の部分が極端に少なく、脂肪が大半を占めている。太さはほぼ同じだが、筋肉が細くなったところに脂肪がついている。

■老化で衰えたところに脂肪

筋肉は老化や運動不足などで使わない状態が続くと衰えて細る。「サルコ」は筋肉、「ペニア」は減少という意味だ。筋肉の量が減って体の機能が低下した状態で肥満が加わったものをサルコペニア肥満と呼ぶ。

「年をとれば、誰にでも起こりうる」と、筑波大学の久野譜也教授は警鐘を鳴らす。久野教授らが40~80代の男女約6000人を調べたところ、男女とも60代でサルコペニア肥満が増え始め、70代以上になると約3割が該当した。

傾向として、男性よりも女性に多い。久野教授は「女性は皮下脂肪がつくタイプの肥満が多いが、閉経すると内臓脂肪がつきやすくなる。そこに筋肉量の減少が重なるためではないか」と分析する。

サルコペニア肥満になると、高血圧の危険度(リスク)が2倍に上昇し、放置すれば生活習慣病を発症するようになるという。さらに、歩行中に転倒しやすくなる。骨粗しょう症などで骨が弱くなっている女性は骨折して寝たきりになる場合もある。

やっかいなのは、身長や体重が以前とほぼ同じなので、見た目だけでは肥満になっているとは気づきにくいことだ。久野教授は「サルコペニア肥満が放置されてしまいがちな原因だ」と指摘する。

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