スマホの地図アプリ 目的に応じて使い分け
知らない土地を訪れたとき、重宝するのがスマートフォン(スマホ)の地図アプリだ。目的地までの道順を確認したり、周辺の情報を検索したり。アプリごとに使い勝手が違うので、場面に応じて使い分けたい。
「基本はグーグルマップで、必要に応じて他のアプリを使っている」。東京都江戸川区在住の佐藤雅美さんは、iPhone5(アイフォーン5)に4つの地図アプリを入れている。
街歩きのときは道路や橋などの名前が詳しい「MapFan+」、山登りのときは海抜が出る「地図マピオン」など、それぞれの特徴に合わせて使っているという。グーグルマップは自宅のパソコンで情報を登録して、外出先で利用している。
古地図を通じて土地の歴史を調べている佐藤さんは、「アプリによって載っている地名や施設が異なるので、複数の地図を見比べている」という。
誤表示問題で需要増
スマホ用の地図アプリといえば、iPhoneでもアンドロイド端末でもグーグルマップが標準搭載されていた。しかしiPhoneでは2012年9月、米アップルがグーグルマップを外して独自開発の地図アプリを導入。これが誤表示だらけだったことから、地図アプリのニーズが一気に高まった。各社は個性的な機能を次々投入し、利用者の支持を集めている。米グーグルも3カ月後の12月にiPhone用のアプリを提供し始めた。
プログラマーの佐藤匠さんはiPhoneのグーグルマップが使えない間、「地図マピオン」で代替していた。「地図の中心点から距離を指定してコンパスのように円を描くことができるので、手軽に距離をつかみやすい」。距離は10メートル単位で指定できるようになっている。「地図マピオン」には高解像度のiPhoneに対応した高精細モードがあり、情報量も多いという。
街中でアプリを使うとき、よく利用するのが場所の検索だ。アプリによって、具体的な操作方法は少しずつ違う。
「地図マピオン」は駅やバス停、コンビニなどの項目ごとに検索する。表示している地図の範囲内でのみ、検索結果が出る仕組みとなっている。トイレやベビーシートといった項目があるのも他にはない特徴だ。
「MapFan+」は「食べる」「買う」といった項目別に調べるほか、住所でも絞り込める。選択肢から選んでいくので、住所を漠然と覚えている場合には重宝する。「Yahoo!ロコ」も「グルメ」「ショッピング」などのジャンルごとに絞り込んでいく仕組みだ。グーグルマップは言葉での検索のみだが、曖昧な言葉でも候補が次々表示されるので使いやすい。
進行方向示す機能
歩いているときには地図の向きが感覚的に分かると助かる。どの地図も北を上に表示するが、グーグルマップと「MapFan+」は地図を自在に回すことができる。地図上で方角が分からなくなる人は重宝しそうだ。「MapFan+」と「地図マピオン」は進行方向を分かりやすく示す機能も付いている。
地図情報に詳しいフリーライターの片岡義明さんが注目するのは「Yahoo!ロコ」の地図変更機能。「地下街や商業施設など屋内の地図に切り替えて使うことができる。雨雲をリアルタイムで表示する機能や航空写真など個性的な地図もあり、眺めているだけでも面白い」
有料オプションになるが、「MapFan+」のオフライン表示機能もユニーク。回線がつながらないときには、事前にダウンロードした地図データを表示できる。
「地図アプリはそれぞれ個性的。無料なので、ひとまずインストールしておきたい」と片岡さん。各社とも頻繁にアプリをアップデートしており、今後新たな機能が加わる可能性もある。日ごろ、あれこれ試しておくと、必要なときに助かるかもしれない。
(電子報道部 河尻定)
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